リナ・サワヤマがサマーソニック2022に出演し、日本で初めてのパフォーマンスを披露。東京会場のステージで同性婚の権利を訴えた力強いスピーチを全文掲載。(フロントロウ編集部)

リナ・サワヤマがサマーソニック2022で日本初パフォーマンス

 新潟県に生まれ、現在は5歳の時に移住したイギリスを拠点に活動を行なっているシンガーソングライターのリナ・サワヤマが3年ぶりに日本に帰国し、8月20日と21日に東京会場と大阪会場で行なわれたサマーソニック2022に出演。日本での初パフォーマンスを披露した。

 20日に東京会場であるZOZOマリンスタジアムのステージに立ったリナは、自身のDNAをテーマにした楽曲「Dynasty」から日本での初パフォーマンスをスタート。2曲目には、日本人として海外でステレオタイプ的に見られた経験への怒りを綴った「STFU!」を披露するなど、イギリスに暮らす日本人としてのアイデンティティが詰まった2曲がセットリストの冒頭に組まれていたのが印象的だった。

 自身が実生活で感じてきた怒りや葛藤などを綴った冒頭の2曲に続けて披露されたのは、ジェンダー規範を皮肉った「Comme Des Garçons (Like the Boys)」。いずれも歌詞の内容がストレートに伝わってくるようなパフォーマンスは、まさにスタジアムを“掌握”していたと表現するほかないほどに力強く、集まったオーディエンスをエンパワーしていく。

 その後は9月16日にリリースされるニューアルバム『ホールド・ザ・ガール』より「Hold the Girl」と「Catch Me in the Air」を披露した後で、「めっちゃ愛してるよ! ありがとう! すみませんこんな暑いフェス初めてなので、みんな水分補給ちゃんとね」とファンを気遣うMCを経て「XS」。「地獄のように暑いね。もっと暑くなるよ」と宣言し、LGBTQ+コミュニティから奪われている権利について歌う「This Hell」へと続いた。

同性婚の権利を訴えるスピーチ

 蒸し暑い夏の日本にピッタリの「This Hell」のパフォーマンスを終えたリナは、ここで一旦パフォーマンスを止めて、自身のアイデンティティについてスピーチ。「私はバイセクシャルで、私は本当に誇りに思っています」と、自身はバイセクシャルだと宣言した上で、女性である自分は、同性婚が法律で認められていない日本では女性とは結婚することができないとして、次のように訴えた。

 「私がここで同性婚をしようとしたら、出来ないのです。なぜかというと、日本では禁止されています。G7の国の中でも唯一、そのプロテクション、LGBTQの差別禁止(を定める法律)がない国。同性婚のプロテクションがない国です。私は日本人であることを誇りに思っていますが、これはすごい恥ずかしいということです。私と、私の友だち、チョーズン・ファミリー(※)を受け入れて平等な権利を与えられるべきだと、平等な権利を持つべきだと思う人たちは、皆さん私たちと私たちのために闘ってください。LGBTの人は人間です。LGBTの人は日本人です。愛は愛。家族は家族です。一緒に闘ってください。よろしくお願いします」

※血縁の繋がっていない人たち同士が、自分たちで家族のような存在になることを選んだ家族のこと。リナはエルトン・ジョンが参加したバージョンもリリースされた「Chosen Family」でチョーズン・ファミリーについて歌っている。

 レインボーフラッグを持っていたファンもいた会場からこのスピーチに大きな拍手が送られた後で、「ゲイな曲」だとした「LUCID」をパフォーマンスして、集まったLGBTQ+コミュニティのファンを祝福したリナ。最後にリミックスに参加したレディー・ガガの「Free Woman」を披露した上で、「リナ・サワヤマです。みなさんありがとう」と改めて自己紹介して、日本での初めてのステージを締めくくった。

 リナはサマーソニックのステージで来年1月に日本で来日公演を行なうことも発表。エンパワーメントに満ちた、力強くてインクルーシブなステージはぜひ多くの人に観てもらいたい。(フロントロウ編集部)

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