髙橋くみさんプロフィール
UCL(ロンドン大学)卒業後、外資系映画会社、外資系アパレル会社などを得てウェルネスブランド「SIMPLISSE(シンプリス)」を展開するMNC New York株式会社を2009年に設立。
2020年3月には株式会社Be-A Japanを設立し、家族と住むアメリカ・ロサンゼルスと日本を行き来しながら経営を行なう傍ら、生理や女性活躍推進に関してのセミナー等を積極的に行なっている。
吸水ショーツブランドのBé-A〈ベア〉に聞いた「障害者と生理」のこと
内閣府が行なった調査によると日本に住む障害者の数は、身体障害者が約366万人、知的障害者が約54万人、精神障害者が約320万人。およそ国民の6%が何らかの障害を持っている。
そんな障害を持つ人を含むすべての人が使いやすいよう開発された製品は近年少しずつ増えているけれど、遅れをとっているのが生理用品。障害を持つ人を取り巻く生理にはたくさんの課題があるにもかかわらず、これまで見落とされてきたと言っても過言ではない。
この問題に取り組むべく、障害を持つ人の声に耳を傾けているのが、超吸収型サニタリーショーツブランドの「Bé-A〈ベア〉」。Bé-A〈ベア〉は障害を持つ人や障害を持つ子どもの保護者の方の声を聞き、製品づくりに反映している。
Be-A Japan代表取締役を務める髙橋くみさんに、実際に障害を持つ人が抱える生理の悩みや製品づくりについて聞いた。
障害を持つユーザーの声を製品開発に反映するようになったきっかけ
髙橋さんが、障害を持つ人が抱える生理の問題について考えるきっかけになったのは、ブランドのローンチに先がけて行なったクラウドファンディング。9,000人以上の支援者からコメントが寄せられる中に、障害を持つ子どもの保護者の方からの声があったという。
髙橋さん:「当初から、障害を持つ人のためにと考えて製品を開発していたわけではないのですが、クラウドファンディングを行なったことで、障害を持つ子どもの保護者の方から声が届き、向き合うことになりました」
クラウドファンディングがきっかけで障害を持つユーザーが抱える生理の課題に直面し、たくさんの人が悩んでいることを知った髙橋さんは、その後も障害を持つユーザーやその保護者の方とのコミュニケーションを継続。製品の改良や開発に反映させていく。
障害を持つユーザーが抱える生理の問題
ユーザーのニーズに合った製品をつくるため、髙橋さんはZoomなどで自らユーザーと会話をしている。これまでのべ7,000人以上ものユーザーから声を聞く中で、障害を持つユーザーやその保護者の方から話を聞くことも。そして印象に残っている声のひとつが、知的障害を持つ子どもの保護者の方からの声。
髙橋さん:「生理中に血が出ることを気にせず、学校などでも漏れたまま過ごしていることがあり、どうにかしてあげたいという声や、ナプキンが不快で剥がしてしまうことがあるという声、また血に興味を持ってしまって壁にペタペタと血をつけてしまうことがあるという声など、想像していなかった壮絶な体験を聞くこともありました」
ナプキンを取り換えるという作業においても、うまく覚えられなかったり必要性を理解できなかったりという問題があるよう。
髙橋さん:「同じく保護者の方からの声として、ナプキンの使い方を教えてもショーツに羽根をしまう作業のハードルが高くて失敗してしまうことが多いという声や、数時間おきにナプキンを取り換えるように教えても理解できないという声も寄せられました」
またBé-A〈ベア〉には、障害を持つユーザー本人からの悩みも寄せられているという。
髙橋さん:「Bé-A〈ベア〉のコミュニティであるBé-A Circleには、車椅子で過ごしている方もいらっしゃるのですが、その方から聞いたお話では、頻繁に製品を買いに行くことが大変で、ヘルパーさんに介助をしていただきながら1日に何度もトイレでナプキンを替えるのもハードルが高いという話を聞くこともありました」
障害を持つ人でも、生理にまつわる課題や悩みは多種多様。人によっても異なるさまざまな声や要望をくみ取り、製品開発に活かしているという。
Bé-A〈ベア〉の製品があることで安心できるようになったという声も
Bé-A〈ベア〉が製品をつくるうえでもっとも徹底しているのが、1枚で過ごせる圧倒的な吸水量の吸水ショーツをつくること。このこだわりによって、障害を持つユーザーやその保護者の方から多くの喜びの声が寄せられているそう。
髙橋さん:「サニタリー用品を取り換えることが難しい子どもを持つ保護者の方からは、ショーツ1枚だけで過ごせることが夢のようだと言ってもらったことがあります。ほかにも社会進出に向けたインターンの日程がかぶってしまったけれど、Bé-A〈ベア〉のショーツがあったことで漏れることがなくてすごく助かったという声もいただき、とても嬉しく感じました」
使い捨てサニタリー用品などと併用せざるを得ない吸水量のショーツでは、障害を持つユーザーのニーズには応えることはできないとも語った髙橋さん。長時間1枚で過ごせるBé-A〈ベア〉のショーツは障害を持つユーザーを含む多くの人にとって快適なものとなっているが、今後も改良を続けていくという。
障害を持つ人の生理について業界が取り組むべき課題は?
生理中に使う製品では、障害を持つ人のニーズに沿った製品が圧倒的に少ない今。その現状を変えるために髙橋さんが大切だと考えるのが、発信すること、そして多くの人に知ってもらうこと。
髙橋さん:「障害を持つ人の生理について、もっと多くの人に知ってもらう必要があると思っています。発信が多くなることで多くの人に問題が認識され、それに付随した製品も増えていくと考えています」
また障害を持つ子の保護者の方からも、問題について多くの人に知ってほしいという声が多かったという。
障害を持つ人やその保護者の方から届いた声を製品開発に反映するBé-A〈ベア〉。サニタリー用品の業界において障害を持つユーザーの声は長年見落とされてきただけに、まだまだ課題は多いけれど、Bé-A〈ベア〉の吸水ショーツのようにすべての人がサニタリー期間を快適に過ごせる製品が増えていくことを願いたい。
「Bé-A〈ベア〉」って?
「Bé-A〈ベア〉」は、2020年7月に誕生した超吸収型サニタリーショーツブランド。一般販売に先がけて行なったクラウドファンディングでは、なんと公開41日間で支援金が約1億240万円を突破。クラウドファンディングサイトCAMPFIREの「ビューティー・ヘルスケア部門」にて、支援者総数および支援総額の歴代第1位を獲得した。
ブランドを代表する吸水ショーツの3代目モデル「ベア シグネチャー ショーツ 03」をはじめ、多い日・夜用モデルの「ベア ウルトラ ヘビー&ナイト ショーツ」、スリムで軽やかなモデル「ベア エアライト ショーツ」などを展開。「ベア シグネチャー ショーツ 03」は、約125ml※の圧倒的な吸水量を誇り、不安な横漏れをしっかりせき止めるウィングガードを設置。さらに衣類に透けないベージュカラーもリリースするなど、多くのユーザーからの声を反映したモデルとなっている。
※ 公的検査機関のデータを元に算出
「Girls Be Ambitious. 望めば変わる。人生も、世界も。」をコンセプトに、女性をはじめ、すべての人の心身の健康と活躍を応援するBé-A〈ベア〉は、親子で参加できる生理セミナーの開催や、医療機関や教育機関、障害者施設、災害時避難所へのショーツの寄贈などにも取り組んでいる。
公式オンラインサイト:https://withbe-a.com/
(フロントロウ編集部)