耳に心地よい歌声と曲調で10代の日常を歌ってブレイクし、近年はLGBTQ+アイコンとしても支持されるDaya(デイヤ)が4曲入りEP『In Between Dreams』をリリース。数年間付き合っていた元恋人が夢に繰り返し出てきたというデイヤは、その経験を、夢の中にいるかのようにキラキラふわふわした幻想的なポップソングへと昇華させた。多くの人が共感するEPを完成させた23歳のデイヤにインタビュー。(フロントロウ編集部)

取材のハイライト

  • 元恋人の夢を繰り返し見ていた経験がEPのはじまり
  • EPで妹と初コラボ、寝室で収録した楽曲も
  • ジブリ映画にハマっていて、新しい趣味も始めた
  • 18歳の誕生日を過ごした日本は良い思い出がいっぱい

MUSIC -音楽の話-

―『In Between Dreams』という作品の成り立ち

デイヤ:当時私は、初めての一人暮らしを始めたり、長いこと付き合っていた人と別れたりと、新しい経験が続いていたんだけど、ひとりで過ごすなかでその人(=元恋人)の夢をよく見ていたの。そしてそのなかで、何が現実で、何が自分なりの見方をしたことだったのかを明確にしようとしていた。交際していると、自分というフィルターを通して見たことと現実が少し違うことってあるでしょ。このEPはそれを曲にしたような作品。だからサウンド的にも夢を見ているようなドリーミーな感じに仕上がっているし、“In Between Dreams(夢と夢のあいだで)”というタイトルはこの作品にふさわしいと感じた。

―4曲の誕生秘話や意味を解説

「Love You When You’re Gone」

“ケンカする時のあなた/運転するあなた/私に思い起こさせる/私 あなたのことが我慢ならないんだった/私があなたを愛するのは あなたがいなくなった時だけ”

デイヤ:この曲を作ったときの私は孤独を感じていたんだけど、自分が本当にその人(=元恋人)を欲しているのか、ただ誰かにそばにいてほしいからそう感じているのかを見極めようとしていたの。交際中のできごとや思いに対してもそう。何が本当のことで、何が自分がそう思っていただけだったのかを見極めようとしていた。この曲はそういう思いの中で交際を振り返った曲なの。

「New Romantics」

“80年代の映画でも見てみようよ/照明を落としてムーディに/あなたの腕を私の腰に回して/私たちの体が消えていくように”

デイヤ:私は曲作りを通して架空の世界(=物語)を生み出すのも好きなんだけど、これは、そんなフェイクなリアリティを歌った曲。誰かと恋に落ちて、交際の面倒な部分は抜きの、光悦とするような状況を思い描いた曲なの。付き合いたての2週間って、現実じゃないかのように幸せいっぱいで、まるでハイになっているかのような気持ちになるよね。私にとって、この曲はその時期を表している。

「Her」

“彼が私の中に入っているのに/私は彼女を想っている/彼女を想っている/彼女を想っている”

デイヤ:これは私にとっては過去最高に大人向けな曲なんだけど、すごく自然に出来上がった。新しい相手といながら、元恋人のことを考えてしまっているというストーリーを伝えている曲。最後の方では、悪夢のようなトーンを出したかったの。元恋人が思考のあちこちにいて、頭から離れなくて、錯乱気味になっている様子を表したかった。別れて次の関係に進もうとしているのに、何かにつけて元恋人のことを思い出させられるって経験には多くの人が共感すると思う。

「See You In My Dreams」

“この一週間 送ることのないごめんねを書いていた/あなたがまた会ってくれるとしたらどの服を着るかも選んだ”

デイヤ:これは、“終わる前に戻って(別れる原因となった)問題を解決してどうにか交際を続けたい”という思いをストーリーとして描いた曲。現実にはもう時間が経ちすぎているし、お互い別々の道に進んだからそんなこと無理だって分かっているんだけど、“こう言えばよかった、こうすれば良かった”と思い描いているの。当時、元恋人の夢をよく見ているなかで誕生した曲なの。

―EPづくりの思い出

デイヤ:これらの曲を作ることは、セラピー的な体験でもあった。モヤモヤと考えすぎている状況から抜け出させてくれたし、当時感じていた孤独を紛らわせてもくれた。作っていて慰めになったよ。プロデューサーのオスカーがちょうどLAに引っ越したばかりでスタジオが準備中だったから、「Her」と「New Romantics」は彼のベッドルームで作ったんだけど、居心地が良くて安心できる空間にいると自然とオープンになり弱さを出しやすかった。彼のベッドに座って曲を作るという状況は、間違いなく楽曲の仕上がりに影響を与えたと思う(笑)。

―「New Romantics」で妹と初コラボ

デイヤ:「New Romantics」のビデオで妹とコラボしたの。妹はペインティングの学位と音楽プロダクションの学位を持っていて、アニメーションも習っていたから、『自分がやろうか?』と言われたときは『ぜひやってほしい!今までコラボしたことないし、あなたのビジョンが私のビジョンとどう交わるか楽しみ』という感じだった。出来上がった作品を誇りに思うし、妹とコラボできたのは最高の経験。本当にクールな人だから。

―ソングライティングのスタイル

デイヤ:ソングライティングでは基本的にメロディから入るタイプ。メロディがある方が歌詞が浮かびやすいし、逆に、歌詞にメロディを当てるのは手こずることがある。そして私は、すぐに録音するクセがあるの。メロディを思いついたら、レストランで食事中だろうがクラブの中にいようが、スマホに向かってアイディアを録音するの。スマホには、ふと頭に浮かんだメロディとかが何十時間も保存されている。曲が誕生した生い立ちに戻れるという意味でも気に入っている。曲のかけらとか、プロダクションとか、曲のバックボーンがそこに存在しているから。

LIFE -パーソナルな話-

―音楽以外でハマっていること

デイヤ:最近はよく映画を観ている。ジブリの映画はよく観るよ。『千と千尋の神隠し』はお気に入りだし、『魔女の宅急便』は最近観てすごく良かった。フランス映画も好き。ジャン=リュック・ゴダールとかね。本を読むことも多いし、書き物もする。書籍に関しては、サリー・ルーニーが好き。彼女の書き方が好きで、もしも自分が本を書くならああいうスタイルで書きたいなと思える人。

あと最近、ガーデニングもはじめたの! 料理をするようになったから自分で作った野菜で料理できたら良いなと思って、新しいプロジェクトとして取り組みはじめた。トマトとか、ピーマンとか、キュウリとか、よくある野菜を植えているよ。でも難しいよね。今年は暑かったから次々と死んでいったし(笑)。これから上達したいと思っている。

―セラピーは自分をととのえる良い方法

デイヤ:私のことを一番よく知る人…それは私のセラピストだろうね(笑)。誰にも言わないようなことでも、彼女には話しているから。メンタルヘルスの問題を抱えている、抱えていないに関係なく、セラピーは素晴らしいツールだよ。私自身、メンタルヘルスの調子が良いときであっても話をできる相手がいることはプラスに感じるし、自分の経験を第三者の視点からも見られることはすごく助けになるの。

―リラックスしたいときにすること

デイヤ:ヴォーカル・ウォームアップをすると心が落ち着くの。パフォーマンスをする前の話ではあるけど、いつもやるルーティーンのようなものって落ち着かせてくれるでしょ。“よし、準備できた”と平静にしてくれるし、緊張を解いてくれる。

―過去2回の来日の思い出

デイヤ:日本は良い思い出しかない! 文化も、国民も、ファッションも大好き。原宿や渋谷での買い物はすごく楽しかったし、音楽なり、アートなり、ファッションなり、刺激的で楽しいこと尽くめだったのを覚えている。18歳の誕生日も日本で過ごしたんだよ。お母さんと2人のバンドメンバーと一緒に、BBQに行ってカラオケに行った(笑)。楽しかったよ。

―日本のファンにメッセージ

デイヤ:日本のみなさん、大好きです! ずっと応援してくれてありがとう。本当に感謝しています。直接は会えていないけど、みなさんが私の曲を聴いてくれていることや、みなさんからの愛はきちんと感じています。ありがとう。早く直接会えることを願っています!

画像: ハートブレイクをキラふわポップに変えたデイヤが『In Between Dreams』の全曲を解説してくれた

EP『In Between Dreams』
ダウンロード&ストリーミングはコチラ:https://avex.lnk.to/inbetweendreamsPR
2022年10月21日リリース(配信限定)
1.Love You When You’re Gone
2.New Romantics
3.Her
4.See You In My Dreams

(フロントロウ編集部)

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