ディズニーファンであれば多くの人が一度は憧れたことがあるであろう夢の職業“イマジニア”にはどうすれば就職することができる? ウォルト・ディズニー・イマジニアリングで東京ディズニーシーを担当しているイマジニアである、カーク・ボディフェルト氏がフロントロウ編集部に教えてくれた。

世界中のディズニーパークなどを手がけるウォルト・ディズニー・イマジニアリング

 東京ディズニーリゾートをはじめ、米カリフォルニア州アナハイムにあるディズニーランド・パークやディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パーク、米フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートなどの世界中のディズニーパークや、ディズニー・クルーズ・ラインの企画・設計・開発などを手がけるクリエイティブ集団であるウォルト・ディズニー・イマジニアリング。

画像: フロントロウ編集部のインタビューに応じてくれたウォルト・ディズニー・イマジニアリングのカーク・ボディフェルト氏。

フロントロウ編集部のインタビューに応じてくれたウォルト・ディズニー・イマジニアリングのカーク・ボディフェルト氏。

 ウォルト・ディズニー・イマジニアリングで夢を形にする仕事をしているクリエイターたちは、イマジン(imagine)とエンジニア(engineer)を掛け合わせた「イマジニア(imagineer)」という名前で呼ばれ、ディズニーファンにとっては憧れの職業とも言えるが、彼らは滅多に表舞台には姿を見せず、ディズニーファンの間でも謎に包まれた職業となっている。

 そうしたなか、今回、フロントロウ編集部では、現地時間9月9日から9月11日にかけてアナハイムで開催された“究極のディズニーファンイベント”D23 Expo 2022の会場で、東京ディズニーシーに2023年度にオープン予定の新エリア<ファンタジー・スプリングス>を担当しているイマジニアのカーク・ボディフェルト氏に貴重な話を聞く機会に恵まれた。

 <ファンタジー・スプリングス>のコンセプトや、東京ディズニーシーへの想いなどについてもインタビューで答えてくれたボディフェルト氏に、“イマジニアになるために大切なスキルは何ですか?”と話を向けると、「とても嬉しい質問をありがとうございます」と前置きした上で、イマジニアになる方法を丁寧に教えてくれた。

イマジニアになるために必要なスキルは?

 アーティスト、エンジニア、建築家、脚本家、プログラマーなど、あらゆるクリエイターからなるウォルト・ディズニー・イマジニアリングで、ボディフェルト氏が担当しているのは、“メディア・プロデューサー”という、アトラクションの中で投影されるものや、それを投影するためのシステムなどの制作を手がけるポジション。ボディフェルト氏は<ファンタジー・スプリングス>に登場する、『アナと雪の女王』、『ラプンツェル』、『ピーター・パン』(※)をモチーフにした4つのアトラクションすべてをメディア・プロデューサーとして担当している。

※『ピーター・パン』からは、ピーター・パンと、ティンカー・ベルをそれぞれテーマにした2つのアトラクションが登場する。

画像: カーク・ボディフェルト氏は東京ディズニーシーの新エリア<ファンタジー・スプリングス>のメディア・プロデューサーとして、エリアの4つの新アトラクションすべてを担当している。

カーク・ボディフェルト氏は東京ディズニーシーの新エリア<ファンタジー・スプリングス>のメディア・プロデューサーとして、エリアの4つの新アトラクションすべてを担当している。

 「いろいろなイマジニアたちと話していただければお分かりになると思いますが、イマジニアたちは全員が、それぞれ異なるバックグラウンドを持っています」と、イマジニアには必要なスキルは1人1人異なると前置きした上で、ボディフェルト氏は自身のキャリアを振り返ってくれた。

 「例えば、私自身はイマジニアになって5年で、そのほとんどを<ファンタジー・スプリングス>に費やしてきましたが、イマジニアになる前は、ディズニーの別の部門にいましたから。私はかつてディズニーのアニメーション部門に長年いて、『美女と野獣』や『ライオン・キング』といった長編アニメーションに携わっていました。ディズニーで13年にわたってアニメーションを学んだ私は、その後ディズニーを離れて、ソニー・ピクチャーズやパラマウント・ピクチャーズといった他の製作会社でも仕事をしました」

 「その時期に一緒に仕事をしたことがあったソニーの人が、イマジニアとして働くことになって、その人が私を誘ってくれたのです。今いるメディア部門は、アニメーション部門と密にコミュニケーションを取っている部門でもあったので。ディズニーを離れてからはしばらく経っていましたが、顔見知りはたくさんいて、私はイマジニア部門とアニメーション部門を繋げるような役割も担っています」

イマジニアに就職する方法

 イマジニアになる以前にも、アニメーション部門でプロデューサーとして上記の作品以外にも、『ムーラン』など多くのディズニーアニメーション映画に携わったという、輝かしい経歴を持つボディフェルト氏だが、「イマジニアたちは全員が異なるバックグラウンドを持っていますよ」と、イマジニアへの門戸はすべての人たちに開かれていると強調する。「新人のイマジニアたちについて言えば、『Disney Careers』や『disneyinterns.com』という採用サイトがあるので、私たちはそれらのサイトを通じて多くの才能あふれる新人たちを発掘しています」

画像: ©️The Walt Disney Company

©️The Walt Disney Company

 ボディフェルト氏によれば、インターンから正式にイマジニアとして採用されるケースは少なくないといい、<ファンタジー・スプリングス>のチームにもインターン出身のイマジニアが参加しているという。「『ピーター・パン』のエリアを担当した女性の1人は元々インターンでしたが、彼女はものすごく聡明で、どんどん自分の評価を高めていき、今でも私たちの仲間です。非常に賢く、素晴らしいアイディアを思いつけるというところを、彼女は評価されました」

 インターンシップのプログラムでは、「思いついたアトラクションをプレゼンしてもらうというコンテスト」が開催されるといい、そこで高評価を獲得することができれば、正式な場でアイディアをプレゼンする機会がもらえるという。「彼女もそこで選ばれました。そういうわけで、私たちはインターンのプログラムを通して彼女を知ることができたのです。実際にチームの一員になってからも、彼女は自分のスキルや能力、学習する意欲などを私たちに示してくれましたし、彼女は今も成長を続けていますよ」

 「なので、質問への答えとしては、その人次第ということです」とボディフェルト氏は改めて強調する。「今日、大学に入学したばかりだという方と話す機会があったのですが、彼は景観設計家を目指していると言っていましたね。建設段階のアトラクションを見ていただければ分かると思いますが、そこにはリアルなものからフェイクなものまで、多くの植物が植えられています。景観の設計は、その分野での知識や経験が必要です。アニメーション関連に参加したければ、アニメーターを目指すことになるでしょうし、他にもデジタル・エフェクトに関連した技術なども、私たちには必要な要素です。なので、“これが必要”という答えはありません」

画像: イマジニアに就職する方法

 「私たちは、彫刻家や景観設計家、メディア・プロデューサー、テクニカル・ディレクター、VFXアーティスト、アニメーターといった様々な人たちで構成されているチームなのです。なのでもしもこの仕事に応募するなら、自分の関心のある分野でしっかり表現できることが大切です。いずれにせよ、私たちは力を入れてインターンの選考を行なっていますよ」とボディフェルト氏は続けて、イマジニアを目指すのであれば、インターンシップに応募することが近道だと教えてくれた。

 イマジニアについてはディズニープラスで配信されている『イマジニアリング~夢を形にする人々』でもその歴史や裏側を知ることができるが、ボディフェルト氏が説明するように、チームは多彩なクリエイターたちによって構成されている。イマジニアになる可能性はすべての人たちに開かれているとのことなので、関心がある方は、『Disney Careers』や『disneyinterns.com』をチェックしてみて。(フロントロウ編集部)

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