『glee/グリー』のカート・ハメル役で知られるクリス・コルファーが、カミングアウト前にゲイであるキャラクターを演じたことについて、思いを明かした。(フロントロウ編集部)

『グリー』クリス・コルファーがカート役を受けた理由

 ドラマ『glee/グリー』のなかでもファンから大きな人気を誇ったカート。カートはゲイであり、彼を演じたクリス・コルファーも今ではゲイであることをオープンにしているが、カート役に決定した頃にはまだカミングアウトしていなかった。

 ポッドキャスト番組『And That's What You Really Missed』でクリスは、当時の彼の地元はゲイであるとカミングアウトするには「危険」な場所であり、殴られ、刺される可能性すらあったと明かす。また、家族のなかにはゲイのキャラクターを演じることは「本質的に君の人生を壊す」と言ってきた人もいたという。(※クリスの両親ではない。)

 ではなぜクリスはカートを演じたのか。その理由はシンプルで、オーディションに落ち続けるなかで、やっと受かった役を蹴ることはできなかったからだという。

 「本当に怖かったです。当時は人々がクライアントに『ゲイのキャラクターを演じるな。それはキャリアが壊すから』と言うような時代でした。でも僕は長い間オーディションを受けてきて、何も受からなかった。僕に選択肢は残されていなかった。それをするしかなかった。怖くても」

画像: 『グリー』クリス・コルファーがカート役を受けた理由

 最近では、セクシャルマイノリティであるキャラクターにはセクシャルマイノリティである俳優を起用すべきだという声も多い。これは、業界においてセクシャルマイノリティであるとカミングアウトしていると、例えば異性愛者同士のラブコメ映画にはキャスティングされなくなる傾向があるといった問題があり、さらにストレートであれば異性愛者のキャラクターもセクシャルマイノリティのキャラクターも演じる機会があるという非対称があるから主張されていること。

 一方でカミングアウトはしていないがセクシャルマイノリティであり、作中でもセクシャルマイノリティを演じる俳優はいる。例えばドラマ『ハートストッパー』でバイセクシャルのニックを演じるキット・コナーは、カミングアウトをしていなかったが、SNS上で様々な詮索や、事実に基づかない批判を受けてカミングアウトを余儀なくされた

 ゲイであるとカミングアウトする前にゲイのキャラクターを演じ、怖さも感じていたと話すクリスの話を聞くと、セクシャルマイノリティと異性愛者のキャスティングの難しさや、業界全体で状況を改善する必要性を考えさせられる。

 しかしクリスは、カートという役を演じられて良かったと思っているそう。「地元から出て行き、映像業界で仕事がしたかった。ただただ、もう選択肢がないことを知っていただけなんです。その仕事によって、まだ準備が出来ていないけれど、自分自身に質問を問いかけて答えなければいけなくなるだろうということも分かっていました。でもじつはそれに感謝しているんです。それが僕を自分に正直でいるという道に押してくれたと思うから」と話した。

(フロントロウ編集部)

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