元子役であるクロエ・グレース・モレッツが、若い女性として意見し、キャリアを築く苦労を語った。(フロントロウ編集部)

キャリア20年のクロエ・グレース・モレッツであっても…

 7歳の頃から様々な作品に出演し、映画『キック・アス』や『サスペリア』といった代表作・主演作を数多く持つ俳優のクロエ・グレース・モレッツ。現在25歳の彼女は、すでに約20年のキャリアを持つが、現場では若い女性というだけで軽視された経験も多いという。

 ポッドキャスト番組『Reign with Josh Smith』でクロエは、まず初めに、主演俳優というのは演技をするだけが仕事ではないと説明する。

 「ドラマや映画の主演になるということは、セットの雰囲気を作り上げる使命もあるということなんです」

画像: キャリア20年のクロエ・グレース・モレッツであっても…

 何十人、多ければ何百人というスタッフやキャストが集まる現場で、中心人物になるということ。そのような役割を10代の頃から何度も担ってきたクロエの経験値は、かなりのもの。しかし彼女は、「いつかの時点で私はすでに10年ほどのキャリアを持ち、成長とともに重要な役も得るようになっていきましたが、多くの人から抵抗されるのを見ることは、いつでも非常に興味深かったです。もちろん、その多くは年上の男性で、私を幼い子どもだとみなす(infantilize)人達です。重要なことを議題に出しても、多くの時にそれは否定されました」と明かした。

 Infantilizeは、Oxford Languagesで「(誰かの)年齢や経験の成熟さを否定し、子どもとして扱うこと」と定義されている。未成年や高齢者への対応などで問題になることもあるが、女性に対する文脈で問題になることも非常に多い。ポルノや広告で女性を主体性なく描いたり、“おバカ”に描いたりすることなどもあるが、オックスフォード辞典では「純粋な女性たちと子どもたち」といったようなよくある言い回しも、女性たちを受け身で助けがない状態に見せており、Infantilize(子供扱い)していると書かれている。また、ネヴァダ大学の社会学教授であるサイモン・ゴットシャルク氏もThe Conversationの記事で「私たちは毎日それを見ている。大人の女性(grown women)を“女子(girls)”と呼ぶ時だ」と指摘している。

 クロエは、対等に扱われることも多くあったが、「(すでに10年以上)働いてきて、映画の主演であるにもかかわらず、すべての面で子ども扱いされるという、若い少女が置かれる激しい権力闘争や権力関係」も頻繁に経験したと振り返る。そしてそんな彼女が意見を言う時にするようになったこと。それは多くの女性が理解できること。

 「その経験は、アイディアを彼らのアイディアにするような方法での質問の仕方を教えました。意見を言う時に私はいつでもとても優しく、とても下手に出なければいけなかった。一方で強さを保ったまま」

 年少者だから、女性だから、という思い込みで判断する相手の偏見を逆手に取って“攻略”することで現場でうまく立ち回れるようになったというクロエ。意見を聞いてもらうために自分の態度を変えなければならないというのは、性別に関係なく多くの人が経験することだが、クロエの今回の件のように、意見が軽視されやすい女性はとくにそれを強いられるとされている。意見の内容や実力でなく、発言者の性別や態度で意見の良し悪しが決められる状況は改善すべき問題。子どもの頃から業界で活躍し、キャリア20 年になるクロエの意見から学ぶことは多い。

(フロントロウ編集部)

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