『マチルダ・ザ・ミュージカル』驚異の新人子役たち
ロアルド・ダールの小説『マチルダは小さな大天才』および舞台ミュージカル『Matilda the Musical』を映画化したNetflix作品『マチルダ・ザ・ミュージカル』が、大評判となっている。類まれなる才能を持つマチルダを中心に、小学生たちが横暴な大人たちに反乱を起こす物語は、子どもたちに“自分の意志を持って良い”のだと伝える傑作。
アリーシャ・ウィアーが演じたマチルダ、エマ・トンプソンが演じたトランチブル校長、ラシャーナ・リンチが演じたミス・ハニーの演技は絶賛されているが、本作で最も輝いているのは、やっぱり子どもたち。
お菓子が大好きなブルース、トカゲのアイザックを守るラベンダー、ポニーテールのアマンダ、赤いベレー帽をかぶり、左右の靴下の長さが違う着こなしで一味違う上級生のホーテンシア、そしてあれだけ多くのダンスナンバーを見事に歌い、踊りきった生徒たち。そのなかでも、最後の展開でマチルダよりも存在感を放ったと思われるのが、ブルース。彼の歌声とダンスには目を見張るものがあった。
本作の監督はマシュー・ウォーチャスで、彼は舞台版ミュージカルを手掛けてきた人物。そのことから、映画版もこれまで舞台で指導してきた子役たちを起用したのかと思きや、なんと本作は9カ月かけて、数千人の子どもたちをオーディションしている。
そしてなんと…、ブルースを演じたチャーリー・ホドソン=プライア(Charlie Hodson-Prior)は、本作が演技初挑戦!
彼は舞台作品の子役エージェントNatalie Sexton Associatesのメンバーであるため、学校や地域の作品などには出ていた可能性があるが、大型作品はこれが初めてだと見られる。初演技であのダンスと歌声、なによりもあの貫禄を出せるというのは、恐ろしい新人が登場した…。というか、本作に出ているほとんどが小学生で、あのパフォーマンスを見せたと考えると、もはや全員が恐ろしいぐらいの才能を誇っている。
また、米Screenrantによると、ラベンダーを演じたレイ・ヤマウチ・フルカー(Rei Yamauchi Fulker)と、アマンダを演じたウィンター・ジャレット・グラスプール(Winter Jarrett Glasspool)も演技初挑戦。
そして、ホーテンシアのかっこ良さに心奪われた観客も多いはず。俳優のメーシャ・ガーベット(Meesha Garbett)は、『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』でヴァネッサ・カービーが演じたハッティ・ショウの幼少期を演じたが、彼女がキレッキレのダンスを披露できたのは当然なのだ。
なぜなら彼女は、ダンスグループIMD Legionのメンバーであり、ストリートダンサーとして2度の世界チャンピオン、5度のイギリス王者、コンテンポラリーダンス大会で2度のイギリスチャンピオンで、『ブリテンズ・ゴット・タレント』のファイナリストになったこともある。また、ジャスティン・ビーバーのワールドツアーにダンサーとして参加した経歴も。
凄すぎる子役が集まった『マチルダ・ザ・ミュージカル』だが、そのクオリティを確固たるものにしたのは、3ヵ月ほどのリハーサル。米Broadwaydirectでマシューが話したところによると、撮影が開始してからも、それぞれのリハーサルは続いていたという。
コロナ禍で制作され、感染対策をしなければいけなかったことや、子どもたちは撮影の他に勉強もしなければいけなかったこと、子役の付き添いの保護者の人数など、撮影は大変だったそうだが、キャストに恵まれた本作は、映画ファンやミュージカルファン、反骨精神を持つ人々から高い支持を得ている。
(フロントロウ編集部)