『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でジョイを演じたステファニー・スーが、自身の母親が映画を見た時の反応を明かした。(フロントロウ編集部)

移民の高齢女性が主人公の『エブエブ』

 映画『スイス・アーミー・マン』の監督デュオであるダニエルズの新作であり、映画賞を席巻している『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。主人公のエヴリンを演じたミシェル・ヨーと、その夫ウェイモンドを演じたキー・ホイ・クァンの演技が絶賛されているが、2人の娘ジョイの存在も物語において非常に重要な存在。

画像: 劇中の父と祖父に囲まれて笑顔を見せるジョイことステファニー・スー。

劇中の父と祖父に囲まれて笑顔を見せるジョイことステファニー・スー。

 そんな彼女を演じたステファニー・スーは、レジェンドであるミシェルと共演できたことを嬉しく思っているそうだが、彼女以上に感激していたのが、実の母親だそう。

 『エブエブ』に出演が決まったことを話した時には「良いね」とだけ言われたのが、劇中での母親がミシェルだと話した時には、「オ~~~マイゴッド!私ミシェル大好き!」という反応だったと、米ETのインタビューで笑いながら話したステファニー。しかし、完成した映画を母が見た時の反応は、心にグッときたとも明かした。

 「母はロサンゼルスプレミアで映画を見て、彼女が最初に言ったのが…。彼女は目に涙を浮かべていて、私は、自分とか“キャラクターはとてもあなたみたいだったね”とか、そういったことを言われると思っていたんですけど、母はスクリーンを指差して『これは私』と言ったんです。ミシェルが演じたエヴリンについて話していた。その時、これは母にとって、自分自身(のようなキャラクター)がスクリーンの中で描かれるのを見た初めてのことだったと気がついたんです」

 映画やドラマ、テレビ番組、広告などで様々な人種、性別、文化的バックグラウンドを持つ人を描くレプリゼンテーションは重要で、ここ数年ではアジア系の人々が登場する作品も増えている。しかし、移民で、アジア系の高齢女性が描かれることは少ない。

 異国の地で移民として数十年を過ごし、エヴリンのように苦労しながらも、娘の出演作でついに自分のようなキャラクターが活躍する姿を見て感激したステファニーの母親を思うと、泣けてくるエピソード。

 本作を手掛けた監督デュオのダニエルズは、ダニエル・クワンとダニエル・シャイナートの2人組で、クワンはアジア系アメリカ人。A24の公式インタビューで、「私たちの両親に着想を得たキャラクターを描くのはとても創造的なことで、とても楽しかったです。自分たちを基にした悪役を描くのもね(笑)」語っていたが、クリエイティブさと現実感を見事に掛け合わせた本作は彼らだからこそ制作できたもので、それは、親たちの心にも届いた。

(フロントロウ編集部)

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