第95回アカデミー賞のノミネーションリストが発表! 『エブエブ』旋風が止まらない一方で、主演男優賞候補が全員ノミネート初経験だったり、MCUから演技部門で初ノミネートだったり。(フロントロウ編集部)

アカデミー賞でも『エブエブ』旋風!

 アメリカで3月12日に開催されるアカデミー賞授賞式。その候補作や候補者が発表になった。

 最多ノミネートだったのは、全米公開から数ヵ月が経っても勢いが止むことのない『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(通称エブエブ)』で、10部門11ノミネートを記録。メインキャストの4人と監督デュオのダニエルズは、全員がそれぞれノミネートを果たしている。

画像: アカデミー賞でも『エブエブ』旋風!

 『エブエブ』に次いで多くノミネートされたのは、『西部戦線異状なし』と『イニシェリン島の精霊』で9ノミネート。スピルバーグ監督の『フェイブルマン』は7ノミネートとなった。

2023年アカデミー賞の「意外な初」

 第95回アカデミー賞ですでに拍手喝采となっているのは、『エブエブ』のミシェル・ヨーが主演女優賞にノミネートされたこと。主演女優賞にアジア系女性がノミネートされるのは、1936年にインド出身で、イギリス、スリランカ、マオリなどの血をひくマール・オベロンがノミネートされて以来87年ぶりのこと。また、マールは自身の出生を隠していたため、それを踏まえてミシェルがアジア系俳優として初ノミネートだと評価している海外メディアも複数ある。

 また、主演男優賞候補にはオースティン・バトラー、ポール・メスカル、ブレンダン・フレイザー、コリン・ファレル、ビル・ナイが選ばれたが、なんとじつは、5人全員がアカデミー賞にノミネートされるのが初めて! イギリスの実力派であるビル、そしてコリンまでも初ノミネートとは意外。

画像: 2023年アカデミー賞の「意外な初」

 さらに、トム・クルーズがアカデミー賞にノミネートされるのは23年ぶりのこととなった。彼は80年代から常にハリウッドの最前線で活躍してきたスターであり、過去に3度のアカデミー賞ノミネート経験もあるのだが、最近は縁がなかったのだ。今回は俳優としてでなく、作品賞候補である『トップガン マーヴェリック』のプロデューサーとして名前がリスト入りした。

 これまでアワードとは縁遠かったMCUも、今年初めて演技賞に食い込んだ。『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のラモンダ女王を演じたアンジェラ・バセットが、助演女優賞にノミネートされている。

 興味深い“初”が多かった一方で、今年はふたたび監督賞に女性の名前がない状態に。作品賞の『ウーマン・トーキング 私たちの選択』を手掛けたサラ・ポーリー監督や、ハーヴェイ・ワインスタインによる性暴力を暴いた女性たちの闘いを追った『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』のマリア・シュラーダー監督、批評家から高い評価を受けている映画『Till』のシノニエ・チュクウ監督などの名前がなかったことに落胆する声は多い。

 ちなみに、前作は脚本賞にノミネートされた『ナイブズ・アウト: グラスオニオン』が、今回は脚色賞にノミネートされたことに疑問を抱いた映画ファンもいるかもしれない。アカデミー賞のルールでは、続編作品は何であっても脚色賞にカテゴライズされるようになっている。『トップガン マーヴェリック』が脚色賞になっているのも、このため。

作品賞

『西部戦線異状なし』

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

『イニシェリン島の精霊』

『エルヴィス』

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

『フェイブルマンズ』

『TAR/ター』

『トップガン マーヴェリック』

『逆転のトライアングル』

『ウーマン・トーキング 私たちの選択』

監督賞

マーティン・マクドナー/『イニシェリン島の精霊』

ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート/『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

スティーブン・スピルバーグ/『フェイブルマンズ』

トッド・フィールド/『TAR/ター』

リューベン・オストルンド/『逆転のトライアングル』

主演女優賞

ケイト・ブランシェット/『TAR/ター』

アナ・デ・アルマス/『ブロンド』

アンドレア・ライズボロー/『To Leslie(原題)』

ミシェル・ウィリアムズ/『フェイブルマンズ』

ミシェル・ヨー/『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

主演男優賞

オースティン・バトラー/『エルヴィス』

コリン・ファレル/『イニシェリン島の精霊』

ブレンダン・フレイザー/『ザ・ホエール』

ポール・メスカル/『Aftersun(原題)』

ビル・ナイ/『生きる LIVING』

助演女優賞

アンジェラ・バセット/『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』

ホン・チャウ/『ザ・ホエール』

ケリー・コンドン/『イニシェリン島の精霊』

ジェイミー・リー・カーティス/『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

ステファニー・スー/『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

助演男優賞

ブレンダン・グリーソン/『イニシェリン島の精霊』

ブライアン・タイリー・ヘンリー/『その道の向こうに』

ジャド・ハーシュ/『フェイブルマンズ』

バリー・コーガン/『イニシェリン島の精霊』

キー・ホイ・クァン/『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

脚本賞

『イニシェリン島の精霊』

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

『フェイブルマンズ』

『TAR/ター』

『逆転のトライアングル』

脚色賞

『西部戦線異状なし』

『ナイブズ・アウト: グラスオニオン』

『生きる LIVING』

『トップガン マーヴェリック』

『ウーマン・トーキング 私たちの選択』

衣装デザイン賞

『バビロン』

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』

『エルヴィス』

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

『ミセス・ハリス、パリへ行く』

メイクアップ&ヘアスタイリング賞

『西部戦線異状なし』

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』

『エルヴィス』

『THE BATMAN-ザ・バットマン-』

『ザ・ホエール』

美術賞

『西部戦線異状なし』

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

『バビロン』

『エルヴィス』

『フェイブルマンズ』

撮影賞

『西部戦線異状なし』

『バルド、偽りの記録と一握りの真実』

『エルヴィス』

『エンパイア・オブ・ライト』

『TAR/ター』

作曲賞

『西部戦線異状なし』

『バビロン』

『イニシェリン島の精霊』

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

『フェイブルマンズ』

歌曲賞

「Applause」/『Tell It Like a Woman』

「Hold My Hand」/『トップガン マーヴェリック』

「Lift Me Up」/『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』

「Naatu Naatu」/『RRR』

「This Is a Life」/『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

音響賞

『西部戦線異状なし』

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

『トップガン マーヴェリック』

『エルヴィス』

『THE BATMAN-ザ・バットマン-』

視覚効果賞

『西部戦線異状なし』

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

『THE BATMAN-ザ・バットマン-』

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』

『トップガン マーヴェリック』

編集賞

『イニシェリン島の精霊』

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

『TAR/ター』

『エルヴィス』

『トップガン マーヴェリック』

長編ドキュメンタリー賞

『All That Breathes(原題)』

『All The Beauty And The Bloodshed(原題)』

『ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦』

『A House Made of Splinters(原題)』

『ナワリヌイ』

短編ドキュメンタリー賞

『エレファント・ウィスパラー: 聖なる象との絆』

『Haulout(原題)』

『How Do You Measure a Year? (原題)』

『マーサ・ミッチェル -誰も信じなかった告発-』

『Stranger at the Gate(原題)』

短編映画賞

『An Irish Goodbye』

『Ivalu』

『無垢の瞳』

『Night Ride』

『The Red Suitcase』

国際長編映画賞

『西部戦線異状なし』/ドイツ

『アルゼンチン1985 〜歴史を変えた裁判〜』/アルゼンチン

『CLOSE/クロース』/ベルギー

『EO』/ポーランド

『The Quiet Girl(原題)』/アイルランド

長編アニメ映画賞

『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』

『Marcel the Shell With Shoes On(原題)』

『長ぐつをはいたネコと9つの命』

『ジェイコブと海の怪物』

『私ときどきレッサーパンダ』

短編アニメ賞

『The Boy, the Mole, the Fox and the Horse(原題)』

『The Flying Sailor(原題)』

『Ice Merchants(原題)』

『My Year of Dicks(原題)』

『An Ostrich Told Me the World Is Fake and I Think I Believe It(原題)』

(フロントロウ編集部)

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