『ウェンズデー』の主演であるジェナ・オルテガが、労働環境が原因で睡眠が取れず、大泣きすることも多くあったと告白。映像業界の労働環境は、決して良いとはいえない。(フロントロウ編集部)

ジェナ・オルテガ、『ウェンズデー』の撮影に苦しい記憶

 2022年にNetflixで配信開始となり、大ヒットを記録したドラマ『ウェンズデー』。主演のジェナ・オルテガは本作以前にもドラマ『ハーレーはド真ん中』や映画『スクリーム』などに出演し、人気があったが、『ウェンズデー』は彼女の代表作となった。しかしドラマの成功の裏で、彼女は過酷な状況に立たされてもいたよう。先日、NetflixによるQ&Aパネルで、本人が告白した。

画像: ジェナ・オルテガ、『ウェンズデー』の撮影に苦しい記憶

 「セットに2時間前に行き、1日12時間から14時間働いて、帰ったら何かしらのオンラインレッスンを受ける、もしくはすでに家でチェロの先生が私を待っている、という生活でした。常に物事が進んでいて、もし週末に時間があれば、もし週6日で撮影がなければ、『いいね、そしたらその日にあなたのレッスンを予約しておくね』という感じだった」

 1日の労働時間がかなり長いうえ、家に帰っても仕事のためのレッスンを受け、週6日勤務が通常で、そうでない週もレッスンが入れられる。かなりブラックといえる労働環境で、ジェナは、「睡眠が一切取れなかった。取り乱していました。ヒステリックに大泣きしている私の電話に父が応えてくれるという時が何度もあった」という。

 ジェナは以前から、撮影の数ヵ月前からチェロやフェンシングの練習を始め、撮影期間中も続けていたと明かしている。ティム・バートン監督は彼女に、チェロを弾く演技は心配ないと伝えてくれていたそうだが、彼女は出来るだけ上手くなりたいと考えていたそうで、それもあってレッスンに費やす時間は多くなったよう。

 とはいえ、労働時間の点からも、彼女が家族に泣いて電話をかける日々だったということからも、『ウェンズデー』の現場や彼女のスケジュール管理の責任者は、責任を果たしていたとはいえないだろう。ただ実は、ハリウッドのテレビドラマのセットでは、1 日12時間を超える労働が慢性化している。

映像業界の労働環境は良いとは言えない

 『ウェンズデー』のみならず、映像業界の労働環境は整っているとは言えない。ハリウッドのドラマ撮影は1 日12 時間労働を超える現場が一般的となっており、ドラマ『ゴシップガール』でブレアを演じたレイトン・ミースターは、過去に、撮影は朝の5時から夜の8時までかかっていたことを明かしている。しかし俳優業の特徴として、一気に働き、一気に休むという働き方が可能であるため、彼女はそっちのほうが肌に合っていると話したこともある。

 しかしこれは、人気俳優であり、給与も多い彼女だから言えることでもあるはず。裏方のスタッフの給与は俳優たちより格段に低くなり、長期間休むことも難しい。例えば2021年には、映画やテレビ業界で働くスタッフの約6万人が加盟するIATSE(国際舞台演劇・映画従事者同盟)が組合員の契約内容のために交渉し、年3%の賃上げで合意したが、アメリカにおいてインフレ率は5.4%であり、その数字は下回っている。また、新契約では、撮影から撮影の間に10時間を空けることが含まれたが、米Seattle Timesによると、それは1日14時間労働が許される状況を意味するという。

 これは日本でも同じ。また、企業に属していない人も多く、フリーランスや、フリーランスの弟子という立場では賃金がゼロから数万円、しかし労働時間は早朝から終電まで、休みはないというケースも多い。映画『真実』でフランスを舞台に映画を撮った是枝裕和監督は、フランスでは映画の撮影であっても1日8時間労働で、土日は休みという環境が守られていることに驚き、感銘を受けたとして、映像業界の労働環境を改善しようと取り組んでいる。

 また、性差別や人種差別の問題も深刻で、性暴力や女性排除、白人以外の人種への偏見に基づく発言など、労働環境の問題は挙げだせばキリがない。特殊な業界とはいえ、生きている人が働く環境を“そういう業界だから”で済まして良いことはない。

(フロントロウ編集部)

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