スペインである男性が元妻に対し、25年間の家事労働に対して約3,000万円を支払うよう裁判所から命じられた。(フロントロウ編集部)

離婚時に25年の家事に対して3,000万円を支払い

 育児や家事をする女性は無職と言われがちだが、給与サイトSalary.comによると、専業主婦の労働時間を換算すると、それに給与が支払われた場合の年収の中央値は約1,960万円だとしている。そして今、スペインで起きた裁判が注目を集めている。

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 イヴァナ・モラルという女性は、1995年に結婚して2人の子どもを授かるも、25年連れ添った夫とコロナ禍だった2020年に離婚。男性はイヴァナと結婚中にジムのビジネスを成功させ、複数の高級車と約8億7,000万円相当のオリーブオイル農場を購入することができるほど裕福な人物。しかし、イヴァナは離婚した際に「何も残されなかった」よう。

 男性が家庭を持ちながらビジネスを成功するための時間が持てたのは、妻が家事育児をこなしていたから。子育てをしながら夫を支えてきたというイヴァナは、「今回の件は、(元夫から)経済面から絶たれて、結婚生活が終わった後に何も残らなかったケースです。自分の時間、エネルギー、そして愛情をすべて家族のために注いできたのに、私と娘たちには何も残りませんでした。私は家庭のなかで、母、そして父としての仕事をこなし、夫の仕事と家庭を支えていたのです。私は夫の経済的な事情に触れることは許されず、すべて夫の名義になっていました」とinewsでコメント。

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 ところがイヴァナは結婚する際、財産分与契約書にサインするよう求められており、今回、イヴァナはこれを利用した。

 財産分与契約書がある場合、家事について請求できるようで、Laura Ruiz Alaminos判事が、夫婦の結婚生活を通しての年間最低賃金をもとに算出して、25年の家事労働に対して約3,000万円を支払うよう命令。

 さらに裁判所は、この男性にイヴァナに毎月約7万2,000円の「年金」と、20歳と14歳の娘にそれぞれ約5万7,000円と約8万6,000円を支払うことを命じた。 

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 イヴァナの弁護士マルタ・フエンテスは、inewsの取材に対し、「判決は、陰に隠れたすべての女性の労働を表しています。彼女たちは間違いなく、何年にもわたって、個人的、夫婦的、身近な面で基本的なサポートを構成し、元夫が職業上のキャリアを伸ばし、富の上昇に貢献しました。そしてこれは、離婚の瞬間に共有されなかった富が上昇できるようにしました」「彼女は彼の影であり、彼がプロとして出世し、誰かになれるように(彼の)後ろで働いていたんです」と妻があってこそ成功できたので、離婚するにあたり家事代を支払うのは当たり前のことと話した。

 今回の件で、他の母親たちにも財産分与契約書がある場合、家事代を請求できることを知って欲しいと主張したイヴァナ。

 母親という職業は365日無休で働いているにもかかわらず、無給であるため、社会的に職業と認められていないことの方が多いのが現状。今回のケースは女性側が金銭を手にするという判決となったが、結婚中に家庭内で無給労働をしていたため労働ができず、離婚後に経済的に困窮するというケースは各国で問題となっている。

(フロントロウ編集部)

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