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ドラマ版『THE LAST OF US』でジョエルのパニック発作を描いた理由を、クリエイターたちが語った。(フロントロウ編集部)

ゲームでもジョエルの不安感が示唆されていた『ラスアス』

 2013年にリリースされ、世界的大ヒットを記録したPS3のゲーム『The Last of Us』をHBOがドラマ化した『THE LAST OF US』。日本ではU-NEXTで配信中の本作は、ゲームからのファンを満足させるクオリティであり、さらに、ゲームでは描かれきれなかったジョエルとエリー以外のキャラクターたちの物語やバックグラウンドまでをも追い、最終回直前の8話の視聴者数が、1話の470万人から74%も増加した810万人を記録するほどのヒット作となっている。

 そんなドラマでは、ジョエルがパニック発作に苦しむシーンが。ゲームにおいて彼にパニック発作が起こることはないため、これはドラマ独自のものだが、一方でゲームでもジョエルが抗不安薬を服用していたことは示唆されている。

 ゲームの初めでプレイヤーがサラを動かし、ジョエルの寝室に行った時に彼のベッドわきにあるサイドテーブルを見ると、ラベルに“anti-anxiety medication tablets(抗不安薬の錠剤)”と書かれたボトルが置かれているのだ。

画像: ゲームでもジョエルの不安感が示唆されていた『ラスアス』

 英GamesRadar+は、おそらくドラマのクリエイターたちも、まったく何もないところからジョエルに発作の展開を加えたのではなく、これがヒントになっているのだろうと予想した。

ドラマでジョエルが発作を起こした理由

 そんななか、ドラマのクリエイターであるニール・ドラックマンとクレイグ・メイジンが、ポッドキャスト番組『The Last of Us』で、ゲーム版のジョエルであり、ドラマの第8話でもジェームズ役でゲスト出演したトロイ・ベイカーに、ジョエルのパニック発作について思いを語った。

 「ヘンリーとサムの展開を経て、ジョエルに起こったことのインパクトを深堀りしたかったのです。かなりの時が過ぎましたが、それは彼がキャビンを出て、自分の胸を掴んだ時に示されます。何が起こったのかというと、ジョエルにはパニック発作が出ていて、彼にはその原因が分からないということです。体が、深刻な危険に直面していると教えているけど、本人にはその理由が理解できない。このエピソードは、エリーが死に、それが彼の責任になることをジョエルがどれだけ怖がっているかについて向き合うものです。

画像: ドラマでジョエルが発作を起こした理由

 皆さんが注目して見ていたならば、ジョエルは何度も彼女を助けていますが、それと同じくらい彼女を助けられなかったことも多いと気がつくでしょう。そしてそれが、彼が不安を抱えていることなのです。私たちの多くのように、もしジョエルのように深刻なトラウマを抱えていたら、小さくとらえられ、失敗や悲劇は過大化して考えてしまう。それが自分を覆い隠すほどの脅威になるくらい。

 彼はエリーにとって最も良いのは彼女を行かせることだと自身を説得していますが、それは彼が自分を守るためなのです。ゲームでは、カメラはかなり遠くにあります。カメラをキャラクターの周りで回すと表情が見えないので、私たちはセリフで表現することにしました。ジョエルからは距離を取り、2人の関係は後退してしまったかのように表現しています。そしてそこで、私たちはカメラを使って親密なクローズアップの瞬間を作ります。繊細な方法で表現できます。エリーの反応は、自分をずっと守ってくれてきた親たちに弱みがあると認めたくない、といったものでしょう」

 娘を亡くしているジョエルが、エリーを死なせたくないのは理解にたやすい。そしてそれが彼のプレッシャーになっていることも…。

 ドラマはゲームでは描かれきれなかった感情も深堀りしていることで、物語に深みが増している。ジョエルの心の旅は、最終回でどのように着地するだろうか。

(フロントロウ編集部)

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