インドネシア出身のアネスが日本デビュー
インドネシア出身の17歳のアーティスト、アネスが6月28日にシングル「Wish You Were Here」をリリースして、日本デビューを果たした。
2005年生まれのアネスは、13歳だった2018年にインドネシア最大のオーディション番組『Indonesian Idol Junior(原題)』で見事に優勝を果たし、アーティスト活動を本格化。アネスは幼少期の頃から歌を歌っていたといい、「小さいときから歌うことや音楽は大好きでした。父が若い頃にバンドをやっていて、母はコーラスで歌っているので、家族の影響も大きいと思います。両親がよく音楽を流してくれたので」とフロントロウ編集部とのインタビューで話す。
「私にとってのアイドルはテイラー・スウィフトやアリアナ・グランデ。それからジャスティン・ビーバーやセレーナ・ゴメスも好きですし、(共にインドネシア出身のアーティストである)NIKIやアグネス・モニカも」とアネス。「彼女たちから大きな影響を受けています」
その後、2020年にリリースしたセカンドシングル「Mungkin Hari Ini Esok Atau Nanti」が現在までにMVがYouTubeで1.1億回以上再生されるなど大ヒット。同曲は韓国のM-net Asian Awardでも賞を受賞するなど、アネスの名前をアジア中へ広めることとなった。日本デビュー曲「Wish You Were Here」は、同曲を日本語でカバーしたものとなっている。
日本デビュー曲「Wish You Were Here」に込めた思い
失ってしまった人への思いを歌う切ないバラードとなっている「Wish You Were Here」。オリジナルの「Mungkin Hari Ini Esok Atau Nanti」は元々、アネスが大好きなドラマ『ペーパー・ハウス』で彼女が好きなキャラクターが亡くなってしまった悲しみから生まれた曲だという。
「『ペーパー・ハウス』というシリーズが大好きで、たしか2020年だったと思うのですが、私の好きなキャラクターが劇中で亡くなってしまって。私はすごくそのキャラクターに夢中だったので、亡くなってしまったことにすごく傷ついて、2ヶ月くらいずっと泣いていたんです。それで、泣き始めてから2ヶ月後くらいに楽曲のインスピレーションが湧いてきて、誰かを失うことについての悲しいバラードを書こうと思い浮かびました。私にとってとても大切な曲です」
同曲でMVが1億回再生を超える大ヒットとなり、自身の人気をアジア圏にまで広げたアネスだったが、このブレイクは「まったく予期していませんでした」と振り返る。
「でも、たくさんの方々に好きになっていただけて嬉しいです。初めてニュースに取り上げられたときは本当に驚きました。『こんなにたくさんの人がこの曲を愛してくれているんだ!』って。あの年はすごく幸せな1年になりました。予期していなかったので驚きでしたが、感謝していますし、自分のことを誇りに思います。(アジアで評価されたことは)私にとって素晴らしい機会になりました。いつか日本へも仕事で行けたらいいなって思います』と続けた。
そして、日本デビュー曲「Wish You Were Here」では日本語で見事な歌唱を披露しているアネス。初の日本語でのレコーディングを次のように振り返る。「幼い頃から日本のアニメが好きでよく観ていたので、親しみのある言語ではあったのですが、発音するのは簡単ではなかったですね。歌うのは難しかったです。どのパートも難しかったのですが、幸運にも(インドネシアを拠点に活動しているシンガーソングライターの)加藤ひろあきさんが発音を手伝ってくれました。(レコーディングは)私にとって忘れられない体験になりました」
今日も明日も きっとこれからも
幾千のメモリー 心に刻まれたまま
今日も明日も きっとこれからも
言葉も交わせず それでも想ってる
「Wish You Were Here」歌詞抜粋
好きな日本語は「おはよー!」日本アニメで日本語に親しみ
幼い頃から日本のアニメが好きだったと教えてくれたように、アニメの影響で日本語には親しみを感じていたというアネス。お気に入りのアニメを訊いてみると、「『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』に『ドラえもん』、それから『SPY×FAMILY』も好きですし、あとは『けいおん!』も大好き」と教えてくれた。「とにかくたくさんあります! 日本のアニメは大好きです」
アニメを通して知った日本語で好きな言葉はあるかと話を向けてみると、日本語で「『おはよー!』は良いなって思います」と元気よく返ってきた。「どうしてかは分からないですが、すごく魅了されます。楽しそうですよね。『おはよー!』っていう言葉を聞くのが好きです。クールだなって思います」
まだ日本には来たことがないというアネスだが、日本へ行くのは子どもの頃からの夢なのだそう。「日本にはぜひ行ってみたいです。子どもの頃からの夢なんです! 富士山やディズニーランド、ディズニーシーに行きたい」
ファッションが大好きなこともあり、日本のカルチャーのなかでも特に共感できるのが「日本のファッション」だとアネス。「色々と(ファッションを)ミックスをさせるのが好きで、特定のお気に入りというのはなくて、あらゆるファッションが好きなのですが、そのうちの一つが日本の原宿のようなファッションです」
インドネシアを訪れた日本のファンを案内するとしたら?
アネス流インドネシアの楽しみ方
憧れのアーティストに、アジア系のレーベルである88risingに所属しながら世界的に活躍するインドネシア出身のNIKIの名前も挙げていたアネスだが、そんな彼女も、日本とインドネシアの国交65周年という年に、インドネシアを代表する次世代のシンガーとして日本デビューを果たすこととなった。このようなタイミングに日本デビューすることについては、謙虚に次のように話す。
「このような機会をいただけたことに感謝の気持ちでいっぱいです。夢が実現したような気持ちで、まだこれが現実だとは信じられません。私にとってものすごく大きな機会ですし、とても光栄に感じています。これを実現させてくださった皆さんに感謝しています」
アネスが考えるインドネシアの魅力は、どんなところにあるのだろうか? “インドネシアについて特におすすめしたいポイントを3つ挙げるとしたら、何が思い浮かびますか?”と訊いてみると、笑いながら、「食べ物ですね。①食べ物、②食べ物、③食べ物、です(笑)。インドネシアの食べ物が大好きなので(笑)」と、とにかく食べ物をぜひとオススメしてくれた。
「ぜひ食べてもらいたい食べ物がたくさんあります! 例えばサテ・アヤムやご飯料理のナシゴレンとか。それから私の故郷の料理でブブール・マナドという、おかゆの料理があって、それもおすすめです。私はマナドという都市の出身なのですが、ブブール・マナドはぜひ食べてもらいたいですね。とにかく、インドネシアにはたくさんの美味しい食べ物がありますよ!」
370万人以上いるインスタグラムのフォロワーのなかで、日本人が5番目に多い割合を示すなど、日本デビュー前から既に日本でも一定のファンベースを築いていたアネス。そんな彼女に、“もし日本からインドネシアを訪れたファンを案内するとしたら、インドネシアのどんなところを紹介したいですか?”と訊ねると、「まずは、インドネシアの魅力はバリ島だけじゃないということを知ってもらいたいですね(笑)。多くの方々がバリ島は知ってくださっていると思うのですが、インドネシアには他にもたくさんあります」と前置きした上で、次のようにプランを語ってくれた。
「西から東まで、北から南まで、素敵な場所に囲まれているんです。インドネシアにはたくさんの文化があって、音楽や食べ物、観光地などの魅力が詰め込まれた大きな国です。ブナケン島にはぜひ行ってほしいですし、ラブハンバジョやバンダネイラ、ラジャ・アンパット諸島もおすすめです。とにかく、インドネシアには美しい場所がたくさんあるんです。ぜひインドネシアに来てください! 私が案内します!」
幼い頃から訪れるのが夢だったという日本でのデビューを叶えた今、アネスが目標としているのは、より世界的に活躍するアーティストになること。「私の目標は、国際的に活躍するアーティストになること」とアネスは夢を語る。「世界中でたくさんの曲が聴かれ、愛されるような。それが私の大きな夢です」。
<リリース情報>
アネス
「Wish You Were Here」
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Photo:フロントロウ編集部,ゲッティイメージズ,Instagram