オリヴァー・アンソニーという完全に無名のシンガーの曲「リッチ・メン・ノース・オブ・リッチモンド」が、最新の全米シングルチャートで1位を獲得して音楽界を驚かせている。一般人の心の叫びを歌って広く共感を得ている彼。陰謀論集団Qアノンとのリンクも指摘されている。(フロントロウ編集部)

“Rich Men North of Richmond”はどんな意味の曲?

 数週間前には誰も知らなかった無名の歌手オリヴァー・アンソニー(Oliver Anthony)の曲“Rich Men North of Richmond”が、米Billboard Hot 100の1位に躍り出て注目を集めている。

 同曲は、「一日中働いている」のに「リッチモンドの北の金持ちたちのせいで/どこまでも課税されるから/十分なお金にならない」と、いくら頑張って働いてもまともに暮らせない苦労と不満を歌った曲。

 「リッチモンドの北」というのは、バージニア州リッチモンドの北に位置する首都ワシントンD.C.のこと。ここはホワイトハウスや議会があるところで、つまり、「リッチモンドの北の金持ちたち」は政治家たちのことだ。

工場労働者だったオリヴァー・アンソニーの心の叫び

 オリヴァー・アンソニーがオリジナルソングを作り始めたのは、新型コロナウイルスのパンデミック真っただ中の2021年。オリヴァーは公式YouTubeに公開した動画のなかで、「多くの人にとって良い時期ではなかったですが、自分もそうだった」と明かすと、「自分にとって大切なものも、もう大切ではないと感じるように」なるほど自暴自棄になっていた当時、「はけ口」として始めたのが曲作りだったそう。

 工場で1日12時間・週6日の3交代勤務をして生計を立てていたオリヴァーは、その環境で働く人たちは、「どんなに頑張っても現状が良くならない。税金で多くを持って行かれるから十分な給与がもらえない。うんざりすることにうんざりしている」と感じていると明かし、「そういった人々の声になりたい」とした。

陰謀論集団Qアノンとのリンクも

 まったくの無名で、フォロワーも大しておらず、レコード契約もなしで全米1位を獲得するという、音楽界ではありえない快挙をを成し遂げたオリヴァー・アンソニーは一躍時の人となっている。そんななか、陰謀論集団Qアノンとのリンクも取り沙汰されている。

 「政治的には中道」と明かしているオリヴァー。彼がYouTubeに作成した「脳が大きくなる動画たち(Videos that make your noggin get bigger)」というプレイリストには、アメリカ同時多発テロ事件にユダヤ人が関わっていたという陰謀論に関する動画が複数含まれている。

 また、オリヴァーは“Rich Men North of Richmond”のなかで、「政治家たちはマイナー(炭鉱労働者)のことを思った行動をしてほしい/どこかの島のマイナー(未成年)のためだけじゃなくね」と歌っているが、これは、大富豪ジェフリー・エプスタインがカリブ海の島に政治家などを招待して現地に集めた未成年たちを性的にあっ旋していたとされる件に触れたもの。Qアノンの間でよく話題になる事件だ。

 ほかにも、人身売買や小児性愛の問題などを曲のテーマとして選んでいるが、これらもQアノンの間でよく議論になる話題。

12億円の契約を断り、現在は1日580万円を稼いでいる?

 現時点で、多くのメディアが取材を申し込んでいるがスルーしている様子のオリヴァー・アンソニー。

 NY Postは業界誌Hitsからの情報として、オリヴァーが800万ドル(約12億円)のレコード契約を断り、現在はストリーミングサービスなどからの曲のダウンロードで1日約580万円を稼いでいるはずだと報道しているが、実際の額は分かっていない。

This article is a sponsored article by
''.