今海外のTikTokで、日焼け止めと他のコスメを混ぜて使う「SPFカクテル」というメイクテクニックが流行中。メイクの時短にもなる便利なメイクテクだけれど、多くの専門家は「おすすめしない」と話している。なぜ日焼け止めを混ぜて使ってはいけないのか、その理由をご紹介。(フロントロウ編集部)
SPFカクテルとは?
海外のTikTokで話題の「SPFカクテル」とは、その名の通り、日焼け止め(SPF)とファンデーションやコンシーラー、ハイライト、ブロンザーなどのクリーム系コスメを混ぜて使うメイクテクニックのこと。
“日焼け止めを塗る”というステップを省けるので、忙しい朝のメイク時間を短縮できるほか、日焼け止め特有のべたつきや白浮きを防ぐ効果もあるという。そんな一見すると理にかなっているように見えるメイクテクニックだけれど、専門家の間では「賢明ではない」と反対する声が多いそう。
SPFカクテルのデメリットは?
英ドクターズコスメZelensの創業者で、美容皮膚科の名医であるマルコ・レンズ医師いわく、日焼け止めと他のコスメを混ぜることをオススメしない一番の理由は、日焼け止めの保護効果が下がるから。
レンズ医師は、「日焼け止めに他の製品を混ぜると、日焼け止めの化学成分が変化し、紫外線から肌を保護する効果に影響を与える可能性があります」と米Byrdieで指摘。本来の日焼け止めとしての効果を損なう恐れがあるという。
また、米シカゴを拠点とする皮膚科専門医のキャロライン・ロビンソン医師は、「日焼け止めの処方はとても複雑で、そのまま使用することが想定されています。そのため、日焼け止めにファンデーションやブロンザーを数滴入れても変わらないと思うかもしれませんが、日焼け止めの効力はすぐに弱まります」とコメント。
続けて、「一部のメイクには油分が含まれており、乳化剤は日焼け止めの重要な成分を分離させ、質感の変化につながる可能性があります。(日焼け止めの処方)は、製品が肌にどのように付着するかによって化学反応が生じるため、化粧品と混合すると組成が変化するリスクがあります」と忠告。紫外線防止効果だけでなく、肌トラブルに繋がる恐れもあると指摘した。
日焼け止めの白浮きを防ぐには?
では、日焼け止め特有のべたつきや白浮きなどは、どのように対処すべきなのだろうか。1つめの解決策は、白浮きしやすい“紫外線散乱剤”ではなく、肌に溶け込みやすい“紫外線吸収剤”を含む日焼け止めを使うこと。
レンズ医師いわく、“紫外線吸収剤”を含む日焼け止めは、基本的に透明なのでメイクと相性が良く、白浮きする心配もナシ。ただし、肌の上で化学反応を起こすため、肌に負担がかかりやすく、敏感肌の人が使う時は注意が必要とのこと。
もう1つの解決策は、色付きの日焼け止めを使うこと。色付きの日焼け止めは、オークルやベージュなど自然な肌色の色合いを残すように配合されているため、ロビンソン医師は、「SPFカクテルの優れた代替品になるでしょう」と助言。
近年では、日焼け止め効果を持つファンデーションやスキンティントなども増えてきているため、朝のメイクを時短したいなら、それらを活用するのも一つの手だとロビンソン医師は言う。
メイクの時間が短縮されるからと言って、結果として日焼け止めの紫外線防止効果が下がってしまっては元も子もない。将来の美肌を守るためにも、日焼け止めの特性を正しく理解し、自分の生活に合わせて上手に活用してみて。