ロサンゼルスのカイザー・パーマネンテ経営の病院を不当解雇で訴えていた看護師が、約60億円を勝ち取った。

 新生児集中治療室の看護師だったマリア・ガッチャリアン氏は、アイソレットと呼ばれるプラスチック製の保育器の中に靴下を履かずに足を置いて休ませたという理由で、30年間勤めていた病院から2019年に解雇された。

 しかしガッチャリアン氏は、これは病院側の報復的な不当解雇だと訴えた。

 じつはガッチャリアン氏は解雇の前に、同病院の集中治療室における問題を複数指摘していた。人員不足が原因の安全性の欠如や、劣悪な患者ケアといった問題を報告したあとに解雇されたため、保育器に足を置くという「些細なポリシー違反」が、解雇の都合のよい口実に使われたと主張した。

 そして米時間12月11日、ガッチャリアン氏は、精神的苦痛に対する約13億円(900万ドル)を含む合計約60億円(4,149万ドル)の損害賠償金を受け取れるという判決を得た。

 裁判内容を報じた地元メディアMyNewsLAによると、原告側の弁護士は「陪審員のみなさんは、カイザー社に、利益よりも患者を優先させる必要があることをはっきりとした声で訴えました」と陪審員の判断を称賛。

 一方カイザー社は、「この訴訟の主張は、私たちが法廷で示した事実と食い違っています。我々は彼女の解雇は正しい判断だったと考えており、評決に驚き、失望しています」とコメントした。

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