『ワンダーウーマン』女性限定スクリーニングに男性が反発
女性ヒーローが主人公の大作映画『ワンダーウーマン』が6月2日に全米で公開されたことを記念して、テキサス州オースティンの映画館アラモ・ドラフトハウス・シネマが、女性限定スクリーニングを決定。
しかしこれに、一部から反発が。ある男性がオースティン市長にこんな激怒の手紙を書いた。
全男性がオースティンをボイコットし、オースティンのイメージを壊して貶めることを願う。女性がよく行う性差別な行為に調子を合わせた映画館がその決断を後悔することも願う。女性ヒーローなんて、何も達成してもいないのに達成したかのようにふるまう女性の良い例だ。女性は幼い頃から化粧の重要性を学び、自分を過大評価する術を身に着けている。女性は男性のみが戦闘に励んでいることを知らないフリをする。その方が楽だからな。女性はオリンピックで本当は10位である(※男性アスリートより劣るという意味合い)にもかかわらず、二流アスリートたちと闘ったうえで平気な顔をして金メダルを受け取っている。女性が開発したものをひとつでもあげてみろ!歴史上、素晴らしいものは全て男性によってつくられてきた。女性じゃない。二流の性別による快挙なんて男性に比べれば見劣りするものばかりだ。オースティンがこれに対抗して男性限定スクリーニングを開かなければ、私は一生オースティンには行かず市が落ちぶれるのを喜んで眺めよう。オースティンは確か、チャールズ・ホイットマン(※テキサスタワー銃乱射事件の犯人)で有名だったな。オースティンは性に対して平等になるつもりなのか?それとも女性にこびへつらうのか?返答はいらない。答えはもう分かってるからな。私は女性が嫌いなわけではない。彼女たちの偽善と「女性運動」の偽善を嫌っているだけだ。女性は性の平等を求めているのではない。もっと欲しがっているだけだ。返答はいらない。臆病者の君が、読むに値するものを書くとは思えないからな。
賛成・反対派に別れて議論
ワンダーウーマンは女性と少女の権利向上のために活動する国連名誉大使にも認定されており、フェミニストアイコンとして親しまれるキャラクター。
映画館としてはそれを記念して数あるスクリーニングのうち一つを女性限定にしたわけだが、これを「男性差別だ」と受け取る人の声は少なくない。
一方で女性限定スクリーニングを「男性差別」とする考えには、「平等と差別の意味をはき違えている」という批判があがっており、今回の件に激怒する人たちに対しては、「男性は100年もの間、『選挙』という男性限定イベントに出席していたのを覚えてる?」「女性だけでワンダーウーマンを観たいって言ったら大騒ぎするくせに、男性(議員)だけで女性のヘルスケアに関する法案を決める時にはに何も文句を言わないんだね」などのツッコミが入っている。
また、今回のスクリーニングを企画したアラモ・ドラフトハウス・シネマは騒動を受けて、「皆さんからのクレームを聞き、早急な対応を取りました。女性限定スクリーニング第二弾を開催します!」と発表。オースティンだけでなくニューヨークなど他地域でも女性限定スクリーニングを行い、反対派に対抗している。
オースティン市長が手紙に反応
ネットを中心に女性限定スクリーニングに対する議論が活発化するなか、男性からの手紙を受け取ったオースティンのスティーヴ・アドラー市長は、こう返答した。
あなたのメールアカウントが敵対心にあふれた残念な人物にハッキングされていることをお知らせするためにこの手紙を書いています。この男性の無知で性差別的な暴言のせいであなたが汚名を着せられないように、アカウントのセキュリティを改善することをお勧めします。私たち男性同士は、助け合わなくてはいけませんからね!
現代において女性が戦闘部隊に参加できるということや、医療用の注射、救命ゴムボート、非常階段、セントラルヒーティング、太陽熱暖房、Wi-FiやGPSの基礎となったラジコン魚雷の戦時中のコミュニケーションシステム、さらにビールが女性によって発明されたことをあなたが知らないなんて勘違いされたらどうします?
それに、民間企業がビジネスチャンスをつかもうと、女性にスーパーヒーロー映画を観させるために今週末にひとつのスクリーニングを確保した程度のことにあなたが怒っていると誰かに勘違いされたら、あなたがどれだけ恥ずかしい気持ちになるかは想像すらしたくありません。
あなたや私のようにきちんとした男性は、あんなひどいメールであなたの良い評判と立派な人格を中傷しようとした気の毒な生き物のデリケートな感受性に付き合っているヒマはないはずです。
メールアカウントがハッキングされたというこの報せがあなたに過剰なショックを与えないことと、そしてあなたがアカウントのセキュリティを問題なく改善できることを願っています。また、将来的にあなたがオースティンにいらっしゃることがあれば、オースティンはどんな人間でも受け入れる場所であることを知っていてください。近代と良識と常識にとっての恥のような考え方を持ったあのメールの作者でさえもね。
オースティン市長の手紙は、国民の間で大ウケ。
拍手喝采を受けている市長は、娘と一緒に『ワンダーウーマン』を観に行き、「私のスーパーヒーローのひとり、サラと日曜日の映画」というコメントとと共にツイッターに写真をアップした。
反対派からは行政に苦情が
しかし、女性限定スクリーニングに対する論争は未だに収まっていない。
反対派によるクレームは続いており、今週、オールバニ・ロー・スクールのステファン・クラーク教授によって、イベントは男性客や男性スタッフを差別しているとして行政に苦情が申し立てられた。
そんな論争をよそに、『ワンダーウーマン』は北米で公開週末に女性監督作品で史上最高額となる興行収入を記録。高いレビューを得ており、8月25日の日本公開が待たれる。