最愛の人のために婚活プロフィールを作成
今年、米New York Times誌のコラムにある人物の容姿や性格などのこと細かな情報が記された、いわゆる「婚活プロフィール」のような記事が掲載された。
この記事を書いたのは、アメリカ・シカゴ在住の作家エイミー・クラウス・ローゼンタール。でも記事に記されていたのはエイミー自身のことではなく、彼女の夫ジェイソンのことであった。
なんと同誌に掲載された「婚活プロフィール」は、エイミーが自身の夫ジェイソンに良いお相手を見つけるために書いたものだったのだ。
でもなぜエイミーは自分の夫のためにそんなものを書いたのだろうか?
実は、2015年に卵巣がんを患っていることが発覚したエイミー。しかし残念ながら発見された時にはすでに手の施しようがなく、その後2年にわたってがんの進行を遅らせる治療を続けていた。
そんな余命が刻々と迫るエイミーにとって、気がかりなことがひとつだけあった。それは、夫であるジェイソンのこと。2人の間には3人の子供がいるが、3人とも大学進学を機に実家を出てしまったため、家にはエイミーとジェイソンしかいない。
もしもエイミーがいなくなってしまったら、ジェイソンが1人ぼっちになってしまう。そう考えたエイミーはある一大決心をする。それがこの「婚活プロフィール」だったわけだ。
「もしかしたらあなたは私の夫と結婚したいかも」
結婚してから26年間、夫婦として歩みをともにしてきたエイミーとジェイソン。「彼とはたった1日で恋に落ちた」と話すエイミーにとって、ジェイソンはかけがえのない存在。その最愛の人のために、彼女はこのメッセージを一生分の愛と想いを込めて書いた。
私はティンダーやイーハーモニーといった婚活サイトは1度も使ったことがないけど、夫のジェイソンと9,490日間を過ごした経験をもとに、彼の簡単なプロフィールをここに書きます。
ジェイソンは身長180cmで体重は70kgぐらい、少し白髪交じりの頭でヘーゼルカラーの目をしています。
彼はなかなかオシャレで、私たちの息子のジャスティンとマイルズも時々彼から服を借りるほどです。
もしも私たちの家が話せるとしたら、「彼はとても頼りがいがある」と答えるでしょう。とくに食べ物に関しては。(彼は料理が得意よ!)
ジェイソンは生演奏の音楽を聞くのが大好きです。これは私たち夫婦の共通の趣味でもあります。ひとつ情報をつけ加えるとしたら、私たちの19歳の娘パリスはほかの誰でもなく、父親であるジェイソンとコンサートに行くのが大好きなの。
もしあなたがロマンチックで、気軽に旅行に行けるような相手をお望みなら、ジェイソンはぴったりのお相手です。
あと、彼はとびっきりハンサムだということを言ったかしら? あの顔を見られなくなるのが寂しいわ。
ジェイソンとずっと一緒にいたいし、子供たちともずっと一緒にいたい。毎週木曜の夜にグリーン・ミル・ジャズクラブでマティーニを飲みたい。でもそれは叶わぬ夢です。私という人間がこの地球上に存在できるのもあと残りわずかです。
これをジェイソンにふさわしい相手が読み、彼と出会い、新たなラブストーリーをスタートさせることを心の底から望んでいます。
愛を込めて、エイミーより
※一部、省略しています。
この記事が掲載された10日後に、エイミーは愛する家族に見守られながら息を引き取ったという。