南米コロンビアで、生まれたばかりの女の赤ちゃんの体内に「双子の胎児」が宿っていたという世にもめずらしいケースが報告された。
イツァマラちゃんと名づけられた女の子の体内から摘出されたのは4.5センチほどの大きさの双子の胎児。重さ14グラムほどの胎児たちには脳が無く、心音も確認されなかった。
イツァマラちゃんの母親が、妊娠中、35週目の検診で行なったエコー検査で、医師がイツァマラちゃんの体内に腫瘍のようなものがあるのを発見。詳しく調べてみたところ、それは、腫瘍などではなく、双子の胎児であることが分かった。
胎児たちはイツァマラちゃんの体内で成長を続けており、そのままだとイツァマラちゃんの臓器を圧迫し、健康に害をおよぼす危険があるという医師の判断を受け、今年2月22日、母親は37週で帝王切開によりイツァマラちゃんを出産。
その翌日、顕微鏡手術により、イツァマラちゃんの体から双子の胎児が摘出された。胎児たちは胎嚢に包まれており、へその緒もついた状態で、手足もあったという。
このケースは、「胎封入奇形」または「胎児内胎児」と呼ばれる非常にめずらしい先天性疾患。
2人からそれ以上の胎児が1つの子宮内で成長する過程で、ほかの胎児を取り込んでしまうという症状で、多くの場合、取り込まれた胎児は宿主となった胎児の胃の中などで育ち、外見からは直接確認することができないと言われている。
英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルには50万件に1人の割合で発生すると記されている。
これまでにも、生まれたばかりの赤ちゃんの体内から胎児が発見されたり、1人の赤ちゃんの体に2人分の手足や性器が備わっていたりと、赤ちゃんの誕生後にこの疾患が判明するケースは報告されていたが、イツァマラちゃんのように、母親の妊娠中に“赤ちゃんの体内にさらに赤ちゃんが宿っている”ことが確認されたのは今回が初めて。
イツァマラちゃんの手術を担当した、ハイリスク妊娠のスペシャリストであるパッラ・サーべードラ医師は、米ニューヨーク・タイムズに「お腹に小さな傷はありますが、彼女は普通の赤ちゃんと変わりません」とイツァマラちゃんが術後順調に回復している様子を明かしている。(フロントロウ編集部)