夏に気になる汗について医師に聞いてみた
連日のように30度超えの猛暑日が続く今、どうにかしたいのが汗。気温の上昇を察知することによってかく汗は、じつは体温調節の役割も担っている。そのため熱中症を防ぐうえでも適度に汗をかくことは大切だとされている。
そこで気になるのが、人によって汗のかき方や量が異なる理由。同じ状況でも、たくさん汗をかく人と、あまり汗をかかない人がいるが、これはなぜなのか?
そんな疑問に答えてくれるのは、石川県野々市市にある腎臓・泌尿器の治療を中心としたクリニック「なかざわ腎泌尿器科クリニック」で院長を務める中澤佑介医師。意外と知らない汗の基礎知識や、目立たせないコツ、制汗剤の効果的な使い方について聞いた。
汗をかきやすい人、かきにくい人の違いって?
汗をかきやすい人、かきにくい人の違いについて中澤医師は、「個人の体質によって汗腺の数や分布が異なり、それが汗をかきやすいかかきにくいかの違いに影響を与えることがあります」と説明。
この体質のほか、汗の量を左右するのが運動習慣の有無。中澤医師は、「運動を頻繁に行う人は、一般的により多くの汗をかく傾向があります」と明かした。さらに体重、体脂肪率、体温など、個人の身体の状態も汗の分泌に影響を与える要因になると補足。
ちなみに汗をかく部位も人によって異なるが、この理由は汗腺の分布が関係している。中澤医師によると、汗腺の分布が体の部位によって異なるため、人それぞれかきやすい部位が違うことがあるのだという。
汗をかきやすい人向け:目立たせないための工夫、制汗剤の使い方
とにかく汗をかきやすい場合、気になるのがワキなどの汗ジミや目立ち。そんな悩みを解消する方法として力を入れるべきは衣類の選択。
中澤医師は、「通気性のある素材を選ぶことで汗が蒸発しやすくなります。吸湿性の高い素材や、汗を素早く乾かす機能を持つウェアがオススメです」とアドバイス。続けて、脇汗パッドを衣類の下に着用することも効果が期待できると明かした。
また制汗剤の効果を存分に発揮させるためのコツも。中澤医師が明かすコツは以下の3つ。
制汗剤を効果的に使うためのポイント
①清潔な肌に使用する
②適切な量を使用する
③ワキ以外にも使用する
中澤医師は①②について、「シャワーを浴びた後や清潔な拭き取りを行なった後の乾いた肌に制汗剤を塗ると効果的です。また過剰な使用は肌に負担をかけることがあるため、製品のラベルや指示に従って適切な量を使うことが重要です」と説明。
そしてもうひとつの③については、「ほかの部位にも制汗剤を使用すると全体の汗の量を減らす助けになります」と説明し、とく汗をかきやすいワキだけに制汗剤を使うのではなく、幅広い部位に使用するよう勧めた。
汗をかきにくい人向け:汗をかきやすくするためのコツ
前述の通り汗のかきやすさ、かきにくさには個人差があり、体質などが大きく関連している。また以前にくらべて汗をかきにくくなったといった場合、加齢や自律神経が関係していることも。
中澤医師は、「加齢やそれに伴うホルモンの低下とともに汗腺の数や活性が変化することがあり、汗をかきにくくなる場合もあります。また自律神経系のバランスが崩れた場合も、変化することがあります」と解説。
極端に汗をかきにくい場合は、汗をかきやすくするためにはどうしたらいいのか。具体的なオススメとして中澤医師が挙げたのは以下の4つ。
汗をかきやすくするための工夫
①身体を温める
②適度に運動をする
③サウナや熱めの入浴
④ストレスを減らしてリラックスする
中澤医師は、「極端に汗をかきにくい場合は、体温を上げることや活動をすることで汗をかきやすくすることができます」と説明し、上記の4つのコツを取り入れるようアドバイス。運動する場合にお勧めはウォーキングなどの有酸素運動。サウナや入浴は過度な利用には注意するよう話した。
意外と知らない汗に関する基本知識。ちなみに汗のかき方が極端な状況が長期間続く場合は、専門機関への受診を検討することが大切。中澤医師は、「汗の量や汗に関連する問題が長期間続く場合は、医師に相談することを視野に入れてください。特に異常な汗の増加や減少は、体の健康に影響を及ぼす可能性があるため医療機関受診を勧めます」と話している。
教えてくれたのは…中澤佑介医師
石川県野々市市にある腎臓・泌尿器の治療を中心とした専門クリニック「なかざわ腎泌尿器科クリニック」で院長を務める。男性だけではなく、女性にも身近で専門的な泌尿器科クリニックを目標とし、仕事をしている人が休まなくても治療できる環境を整えている。
「なかざわ腎泌尿器科クリニック」公式サイト:https://www.nakazawa-cl.jp/