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【ジャスティン・ビーバー】なぜPCを持ち込んだ?賛否を呼んだコーチェラ演出を解説

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【ジャスティン・ビーバー】なぜPCを持ち込んだ?賛否を呼んだコーチェラ演出を解説
Backgrid/アフロ

 約4年振りの大規模ステージへの復帰となったジャスティン・ビーバーコーチェラ2026公演のヘッドライナーとして登場。ラップトップを持ち込みYoutubeでMVを投影したその想いに迫る。(フロントロウ編集部)

PC演出は“原点回帰”のためだった

 今回の公演中盤でビーバーは、ステージ上でラップトップを操作しながら、YouTube上の自身の過去の映像や楽曲を振り返った。「Baby」「Never Say Never」「Sorry」といったヒット曲のミュージックビデオを巨大スクリーンに映し、その一部をあらためて歌唱。さらに、過去の自分の姿やネット上で拡散されたミームまで自ら取り込む流れになっていた。

 一方で、この演出は典型的なヘッドライナー公演の期待ともズレていた。大掛かりなセットやダンサー、次々に押し寄せる視覚的な派手さを求める観客からすれば、ステージでPCを操作する姿はあまりにミニマルで、意外性の強いものだったはずだ。

 ただ、今回の公演全体がもともとそうした方向性で作られていた。ビーバーは派手な演出ではなく、自分の声と姿にフォーカスしたからこそPC演出も、単独で浮いたアイデアではなく、過去と現在をつなぐ重要な装置として機能していたと言える。

過去を笑いものにせず、自分のものにした

 このパフォーマンスで印象的だったのは、過去の自分を切り離したり否定したりしなかったことだ。むしろ、かつて消費され、ミーム化され、時に茶化されてきた“若いジャスティン・ビーバー”の姿まで含めて、今の自分の一部として引き受けるような構成になっていた。

 それは、過去を懐かしむ演出というより、“自分の物語を自分でコントロールし直す”パフォーマンスだったのかもしれない。だからこそ、静かな演出ながら強い印象を残した。

 ジャスティン・ビーバーのコーチェラ2026は、派手な復活劇ではなく、自分の原点とどう向き合うかを見せたステージだった。ラップトップを持ち込んだ理由も、賛否を呼んだ理由も、その演出があまりに個人的で、正直だったからこそ。今の彼が何を大事にしているのかが、最もよく表れた場面だった。

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