女性用風俗の安全性やサービス内容は?内勤女性が見た「実際のところ」


女性の性欲がタブー視される時代が長らく続いたけど、そんなのもういらない! セクシャル・ウェルネスや性欲について普通に語り合う女性たちも増えているなか、ここ数年で女性用風俗のサービスも広く知られるようになってきた。そこで今回は女性用風俗で働く女性に話を聞いた。(フロントロウ編集部)
女性用風俗を経営する女性の思いや経験を大特集
ここ数年で急速に認知度が上がっている「女性用風俗」。映画『娼年』や漫画『1122(いいふうふ)』など、ポップカルチャーでも取り上げられることが増え、興味を持った女性も多いはず。でも、ちゃんと安全なのかどうかや、なにが出来たり、どんな人が働いているのか分からなかったりして不安! まだまだそんな思いは持ってしまうもの。
そこで今回は、“粘膜同士の接触なし”が特徴の女性用風俗「SPA White(スパホワイト)」を経営し、エステの国際資格を持つあす香さんにお話しをお聞きしました!

女性用風俗って、一体どんなところ? 何ができる?
まずやっぱり気になるのは、何ができるか。本番行為は男性用風俗でも女性用風俗でも違法だが、スパホワイトではどのようなサービスが受けられるのだろうか?
あす香さん
スパホワイトと他の女性用風俗との違いは、粘膜同士の接触が一切ない環境を整えている点です。粘膜同士の接触なしというのは文字通りにはなりますが、キスやクンニなどをあらかじめ避けることが出来る環境を指します。
よく「粘膜の接触がないのにどうやって気持ち良くなるの?何をするの?」とご質問を頂きますが、我々は”粘膜同士の接触がないことを選べる”ということを大切に、触れ方技術や心配り、丁寧で繊細な性感で”怖くない”を第一に心地よい空間を提供しています。移り変わりの多い女風業界ですが、粘膜同士の接触がない施術をご提供し続ける中で、性器に触れなくとも性的快楽を得られる知識と経験を蓄積しています。粘膜同士の接触がないことで性感染症に患うリスクを限りなく0に近づけ、お客様もキャストも安心できる空間でのサービスを目指しています。
当店では性器周りに触れないリラクゼーションとフェザータッチによる癒しをお楽しみいただける【スパホワイトコース】と、コンドームなど衛生器具を使用した上で性器回りのタッチや指入れを行なう【スパブラックコース】のご用意があるのですが、コース利用率はスパホワイトコースもスパブラックコースも半々くらいになるので、温もりのある性感が欲しい女性のニーズもあると考えています。

画像はイメージです。
女性用風俗の料金設定
すでに利用してみたいと思った読者もいるはず。気になる人が多いと思われる料金についてもお聞きした。
あす香さん
ご利用にかかる料金としてはコース料金、指名料、交通費、ホテル代がございます。基本的な料金は120分19,000円となり、一旦お話から始めたい、試してみたいという方には100分17,000円のコースや、キャストによっては60分3000円のお茶コース、30分5000円の電話コース(zoom使用)のご用意がございます。
女性が風俗を利用する理由は?
女性たちが風俗を利用する理由は様々だけど、やっぱり「セックスレス」というのは大きな理由の1つだそう。セックスレスの悩みもまた、女性が性について話すようになって、話題にのぼるようになったトピックで、その定義は日本性科学会が1994 年に、「特殊な事情が認められないにもかかわらずカップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが 1カ月以上なく、その後も長期に亘ることが予想される場合」だとしている。
そして2020年に発表されたジャパンセックスサーベイ2020では、婚姻関係にあるカップルでセックスレスなのは51.9% におよぶとの調査結果が出ており、もはやレスカップルのほうが多数派なのだ。一方でアメリカでは、米2date4love.comが伝えたジョージア大学の調査によると、過去1年でセックスをしていないカップルの割合は15%から20%ほどだと見られるそうで、その差から日本はレスカップルが多いと言われている。また、セックスレスの定義も異なり、イギリスのBBCは、セックスレスな結婚は「セックスの回数が1年で10回以下」のことだとした。
性交痛も女性に多い問題で、「セックスの時に痛みを感じることがありますか」という質問に、「痛い」と答えたのは男性で14%であるのに対して、女性だと62.4% にのぼった。ジャパンセックスサーベイは、「若い女性での痛いの理由は潤い不足というよりも、性交の経験不足、妊娠・性感染症への不安」が考えられるとしている。

ちなみに、痛みがある時に中断するのは男性で30.8%なのに対して、女性で15.7%。痛いと感じているのは女性のほうが多いのに、止める選択をするのは女性のほうが少ないのは、なんだか考えてしまう結果。セックスの気分でない時に相手に応じることがあるかという質問でも、あると答えたのは男性で45%、女性では68.4%にのぼった。
あす香さん
利用する女性にはパートナーとの性の価値観や相性、タイミングが合わずに心が傷ついてしまってレスになり、ご利用を考え始めた方も多いですし、あとは女性のタイミングとして、ホルモンバランスの変化を感じて身体も心も整えるための利用という形に行き着く方も多いみたいです。当店は利用者さんの平均年齢が40代なので、妊活の壁やパートナーとの時間が合わない、閉経を迎えるにあたってなど、女性としての自分の存在意義などの悩みや迷いを抱え、不安や罪悪感があっても、もう誰かに頼らないとおかしくなりそうなぐらいギリギリな状態で飛び込んできてくれてる方が多いと感じます。
色々なご利用理由がありますが、20代~70代の方では、性経験がなく人生で一度は性の体験をしてみたい、性交痛がある、性行為で気持ちよくなったことがないので良い経験をしてみたい、相手がいない、子育てが終わって手持ち無沙汰になったけど出会いを今更見つけるのも気が引けるといった理由があります。
パートナー有の女性が風俗を利用することは「多い」
セックスレスが理由で風俗を利用する人がおり、『1122』でも、主人公のいちこには夫のおとやがいるが、風俗を予約するシーンがあった。風俗に限った話ではないが、ジャパンセックスサーベイの調査で、パートナー以外の人とセックスしていると答えた人は、女性で31.4%、男性で41.1% 。年代別では、女性の20代で45.2%、30代で42%、40代で35.2%、男性の20代で54.6%、30代で52.1%、40代で43.4%。男女ともに結構な割合が、パートナー以外の人とセックスしている。そんな背景もあってか、女性用風俗でもパートナー有の利用者は多いそう。
あす香さん
ご利用前のヒアリングを行なっている体感ですと、スパホワイトでは6割ぐらいのご利用者様がパートナーがいるかなという感じです。粘膜同士の接触がないからこそ、やっぱり誰かに迷惑をかけちゃいけないなって頭の片隅にある方とか、感染症を患わないことを大切にしている方とか、あとは男性経験がなくて「いや、いきなり接触とか無理でしょ…」というように、怖いけど一歩踏み出してみたい方などもいらっしゃいます。なのでご利用は平日の昼間でのご希望が一番多く、次に土日か、平日のお仕事後の利用が多いです。
イキたいだけじゃない!女性用風俗の特徴とは?
これまでの話を聞いても、なんだか女性用風俗を利用する人の雰囲気や目的は、男性用風俗を利用する人のそれとは異なるのかもしれない。ジャパンセックスサーベイで調査されたセックスの目的は、男性では「性的な快楽のため」が69.8% 、「愛情を表現するため」が56.5%、「ふれあい(コミュニケーション)のため」が37.1%になるのだが、女性では「愛情を表現するため」が 56.1% 、「ふれあい(コミュニケーション)のため」45.1%、「相手に求められるから」が27.8%という結果になる。この差は、風俗の利用者の間にも見て取れるよう。
電話対応で利用者の女性と話すことが多いあす香さんが感じる、女性用風俗の特徴とはどんなものなのか? また、性的なサービスを行なわない場合もあるのだろうか?

あす香さん
男性向け風俗の場合は、当日予約がほとんどで「あの子いますか?お気に入りの子いないんだったら誰でもいいです」のような、誰とするかよりもサービスが優先になるイメージです。女性の場合は1カ月前、2カ月前、3ヵ月前から予約をされることが多く、当店ならではかもしれませんが、皆さん腹をくくって勇気を出して予約してる感じがすごく伝わってきます。そして98%ぐらいはキャストを指名して、日時の都合が合わなければ予約日を変更してでも調整をして、お願いしたいキャストに身を任せたいと考えている方が多いです。
過去には、「10年ぐらいレスで…、38歳なんですけど使って大丈夫ですかね」なんてお電話とかもあって。しかも随分前からインタビューの記事やお店HPを見ていて、私のことも知ってたっておっしゃるんですよね。声のトーンからも、本当にいろいろ、いろいろ、いろいろ考えてたどり着いてくださったんだなというのがひしひしと伝わってきました。
カウンセリングを通して性感よりも温もりが必要だと自分の心の求める物に気がついて、ハグなどの身体接触も一切なくおしゃべりを中心に楽しむ方ももちろんいらっしゃいますよ。
内勤は見た!女性用風俗ではこんなことが起こってます
女性用風俗が増えていて、話題にもなっていることを考えると、以前よりは女性が自由に性について話せる環境になっているということ。しかし話を聞いていると、まだまだ性の悩みを抱えている女性は多いのだと分かる。18歳から29歳の若者を対象にした「性と恋愛2019ー日本の若者のSRHR意識調査ー」では、セックスの悩みを恋人に相談したことがない人は81.4% にのぼった。
では、同じ女性として利用者の話を聞けるあす香さんは、どんなことを話し、どんな思いを抱いているのか? これまでに印象に残っていることや、プロとして考えていることを話してもらった。
あす香さん
当店では初めてのご利用の場合に、私が直接お電話でお話を伺うヒアリングがあります。もちろんあまり個人的なお話をしたくない方には無理にお話しせずに、ご本人様確認だけをさせていただきますが、「どんなお時間を過ごしたいのか、どんな気持ちなのか、どのセラピストで迷っているのか」などのお話を聞くことで、最良のご案内ができるよう努めています。
セラピストの相性のお話し以外にも、女風自体のご利用が初めての方も多いので「使用するホテルはラブホテルがいいか、ビジネスホテルでご利用したいのか」などのご利用に関するご相談も受けつけています。既婚者の方はラブホテルへの入室自体に抵抗がある傾向があり、最近ですとビジネスホテルでも短時間でのレンタル利用(デイユース)も可能なことが多いため、そちらを選ばれる方も多いかなと思います。
せっかく1日有給取って行きますって人だったら、ここのビジネスホテルだったら、併設の露天風呂が15時から使えるからといった理由でオススメしたり。中には「男性と触れ合うのは初めてだから/数年振りだからラブホを使いたくて、どこのラブホだったら知り合いにバレにくく入室できるかしら?」みたいなお話もあるんです。良いご案内ができるように、セラピストがいる地域のラブホは自分の足で歩いて確認する【ラブホツアー】を個人的にしていて(笑)。その地域の所属セラピスト同士もラブホテルのお客様にとっての使用感について(お部屋の綺麗さ、タバコの匂い、入口の雰囲気など)、情報交換していますね。
ホテルは値段も違うし、どこを大事に考えているのか、安さなのか、広さなのか、清潔感なのかって1人1人思いが違うし、女性が幸せになってもらいたいなって思って私たちは存在しているので、私が電話をすることでニーズが聞き取れてありがたいなっていうのはあります。

スパホワイトでは国際女性デーにキャストの皆さんが思いをブログに。あす香さんは、「女性器がついているというだけで対等に扱ってもらえなかった過去。それがおかしいことだと主張し、世界を変えた全ての女性に感謝します」と綴った。
人気のセラピストはイケメンとはかぎらない
ここまでは女性利用者の方についてお話を伺ったが、サービスを提供するセラピストについても質問。一般的に、イケメンだからといって性格が悪ければ嫌われるが、セラピストの人気が出るかどうかも、顔よりも性格のほうが影響するよう。
あす香さん
キャストの見た目は第一条件として大切にしていますが、私は採用の際に、「女性は女性向け風俗に何を求めてますか」っていう質問を男性応募者にします。この前、「すごくいっぱい考えたんですけど、当事者の女性と話してるわけじゃないし、その人に聞かないとそれはわからないです」っていう回答があって。これこれこれ!こういう人が欲しいの私は!って思って(笑)。
「性欲を満たしたいんだと思います」「エッチなことしてみたいと思います」「女性は癒されたいと思います」みたいな回答はイラつきますね。女性の気持ちを男性の物差しではかり、決めつけて動いてしまう、そんな男性優位な考え方では女性用風俗、特にスパホワイトのキャストとしての資質はないかもしれません。
女性とセラピスト、両方を守るために
風俗を利用するということは、個室で2人きりになるということ。女性が男性セラピストから暴力を受けないようにすることも、セックスワーカーであるセラピストの労働者の権利を守ることも、両方が大事になってくる。安全のために、どのような対策が取られているのだろうか?

あす香さん
女性が性暴力にあわないために、キャスト側にはプレイ中も含めお客様に細かく傾聴と現状確認を口頭ですることと、女性が緊張した時に出る体反応を研修時に教えています。SPAWhiteは年間の採用人数が全国で5~6名という厳選した上位3%を採用しているので、安心安全に利用しやすいです。また、お客様には初回利用時に私が電話をすることで、施術の時間の中で何かトラブルやモヤモヤがあったら相談しやすい雰囲気を作っています。
男性キャストがトラブルに合わないようにするには、キャスト側の個人情報保護の徹底と、お客様の利用頻度に目配りをしています。例えばお客様の利用頻度が急に高くなってしまった場合は何かしら理由があるでしょうから、キャストに2人の間の距離感は適切に取れているのか、風俗店のキャストとして、人としてお客様を大切に出来ているのかを確認をします。時には女性とコミュニケーション(雑談)をこちらから取る場合もあります。対策というよりは双方に対する母親目線の気持ちでしょうか。
また、基本的に本業があり私生活の基盤がしっかりと築けている男性が所属しているので、キャストがより質の良いお時間を皆様にお届けできるよう、お客様にもキャストにもTwitterのダイレクトメッセージは基本的に予約の日程調整だけにお願いしています。お客様も節度を保って利用したい方が多く、お客様の方からDMはご遠慮くださっている印象です。スパホワのお客様は優しく聡明な女性が多いです。普段から色々な所に目配りをされていらっしゃるであろう方々なので、非日常空間で温かくゆっくりお過ごし頂ければと思っています。
あとはそもそもの認識のズレがあるとトラブルに繋がりやすいので、講習でも、女性と男性の生物学的違いや女性の妊娠リスクとか、例えば1日に精子は1億2000細胞分裂より生まれるけど、卵子は生まれたときに数が決まって新しく製造はされない。排卵も28日に1個だから、1億2,000と1個で性欲の出方が違うの当たり前だよねといった、施術の技術だけではなく”目の前の1人の女性に敬意を持って”お時間をお届けできるように根本の部分を教えています。

知識のあるあす香さんに聞きたい!
コンドームブランドのデュレックスの調査では、日本ではたった11%の女性しか毎回オーガズムを感じられていないという結果が。それを考えても、また中イキと外イキで異なるとは思われるが、女性でイッたことがある人は多くはないかと予想される。だからこそ、女性でもイってみたいと思っている人は多いはず。あす香さんは、そういったリクエストにどう答えているのだろうか?
あす香さん
オーガズムに憧れを抱く方もいらっしゃるため、イキたいというリクエストも一定数いただいています。その声に、イケるお時間をお届けします!とはお返しできないと思っています。
身体的な話になるんですが、女性が心地よく感じる時に必要なのって、リラックスしている状態なんですよ。ちょっと難しく言うと、副交感神経が活発になっている状態。ふにゃんて力が抜けている状態がすごく感じやすい。女性がイク時には骨盤周辺の筋肉が収縮してイクんですが、それには交感神経の作用が必要なんですね。要はストレスとか依存性の高そうなドキドキ感とか。だから、めちゃめちゃリラックスしている中で、バーンって、ものすごい興奮が与えられるとイクんですが…。例えば全身抱きしめられて、お母さんの手の中に入ったぐらい安心するハグで心も身体も抵抗感が抜け、その状態で背中をさわさわさわ~って触ったり、ちょっと背中をぐぅ~って力強く触ったりすると、体反応が変わってくる。
オーガズムにはそういったメカニズムがあるため、イキたいですというリクエストには「4回ぐらい来ていただければ、そういう体質に持っていったりとか、メカニズムを伝えて練習できるよ」とお伝えするんですが、まぁなかなか難しい。自転車乗りみたいなものです。自転車を漕いでいきなり乗れる人いないのと一緒で、イクための筋肉が必要だし、バランスが必要だし。
でも私たちは、イクことがゴールのお店というよりは、演技をしなくていい、無理をしなくていい、リラックスして気持ちよさや心地よさを楽しめる場所を目指しています。皆さんが固定概念にとらわれずに、性で悩んだり苦しんだりする頻度が少しでも減り、自分らしい性を謳歌できる世の中になればと思っています。
(フロントロウ編集部)