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マイケル・キートン×アル・パチーノ“初共演”が震える…記憶を失う殺し屋が挑む“人生最期の完全犯罪”とは

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BY FRONTROW Press
マイケル・キートン×アル・パチーノ“初共演”が震える…記憶を失う殺し屋が挑む“人生最期の完全犯罪”とは

解禁された初共演シーンは、マイケル・キートンとアル・パチーノの“存在感”そのものが物語を語るような瞬間であった。ノックスがゼイヴィアの家を訪ね、計画メモを差し出す場面は一見淡々としている。しかしその空白の時間に、老いた殺し屋が最後の賭けに踏み出す覚悟が静かに横たわっている。
テレビに映る痩せ細ったライオンを見つめながら、ゼイヴィアが過去を語る声は、決して説明的ではない。むしろ二人が積み上げてきた年月を、わずかな台詞と視線だけで観客に悟らせる。レジェンドの演技とは、こういう余白の支配なのだと突きつけられる。

ノックスの物語は、記憶が薄れていく速度と、犯罪計画が進む速度のせめぎ合いだ。病の診断を受けた瞬間に人生の終幕を自覚した男が、息子の犯した過ちによって再び銃を手にする。記憶が抜け落ち、計画のピースが消えていく。その不安定さこそが、本作のノワール性をさらに濃くしている。

ゼイヴィアはそんなノックスを支える唯一の存在だ。かつて裏社会で共に過ごし、現在は穏やかな生活に身を置きながらも、旧友の願いには目を背けられない。二人の関係は、犯罪映画の師弟という構図に収まりきらず、むしろ人生そのものの重みを帯びている。
そしてメイキングスチールに映るパチーノは、劇中の渋い立ち回りとは別人のように柔らかい。キートンと語り合う姿から、互いに深く信頼し合い、初共演とは思えぬほど演技の呼吸が合っていたことが伝わってくる。
LAの乾いた空気と、崩れゆく記憶、重ねた罪と愛。『殺し屋のプロット』は老境のヒットマンの“終わり方”を見つめるネオ・ノワールであり、同時にキートンのキャリア集大成とも言える重厚な一作である。

『殺し屋のプロット』は 12 月 5 日より kino cinéma 新宿ほか全国公開!


<STORY>
博士号を有するという異色の経歴を持つ凄腕の殺し屋ジョン・ノックス。ある日予期せぬ事態が降りかかる。急速に記憶を失う病だと診断され、残された時間は、あと数週間というのだ。やむなく引退を決意したノックスの前に、疎遠だった一人息子のマイルズが現れ、人を殺した罪をプロである父の手で隠蔽してほしいと涙ながらに訴える。刻々と記憶が消えていく中、ノックスは息子のために人生最期の完全犯罪に挑む――。

<クレジット>

監督・製作:マイケル・キートン

出演:マイケル・キートン、ジェームズ・マースデン、ヨアンナ・クーリク、マーシャ・ゲイ・ハーデン、アル・パチーノ

2023年/アメリカ/英語/カラー/ビスタサイズ/115分/原題:KNOX GOES AWAY/字幕翻訳:大城弥生/映像区分:G

提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ

公式HP:https://kga-movie.jp 公式X:@5648_plot(https://x.com/5648_plot

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