ランジェリーブランドのヴィクトリアズ・シークレット(以下ヴィクシー)の2016年度ファッションショーに初出演したモデルたちの間で、古いSNSの投稿を消す行為が多発している。一体、舞台裏で何がおこっているのか? フロントロウ編集部が特集します。
ヴィクシーはモデル界の頂点
ヴィクシーは年商7,000億円を誇るアメリカ最大のランジェリーブランド。
同ブランドと広告契約を結びスポークスウーマンとして活躍するモデルたちは「エンジェル」と呼ばれ、モデル業界の稼ぎ頭が集まる、まさにモデルの頂点と言われる。
2016年にForbes誌が発表したモデルの年収ランキングでも、上位10人中6人がヴィクシーの現または旧エンジェルだった。
エンジェルはショーモデルから選ばれる
ヴィクシーエンジェルは代々ヴィクシーの名物である年末のファッションショーから選ばれており、エンジェルに選ばれるためにはまずはここに出演することがキモになる。
だが億級モデルになるための扉はそう簡単には開かず、毎年わずか50人前後の枠を数千人のモデルがオーディションで競い合うという、凄まじい倍率となっている。
ヴィクシーモデルのSNS投稿の削除が相次ぐ
そんななか、ヴィクシーショーの前後に相次いだのが、新しく出演したモデルによる古いSNSの投稿の削除。
フロントロウ編集部で2016年が初のヴィクシーショーとなったモデルのSNSを調べたところ、最初の5人中3人のアカウントでツイッターまたはインスタグラムの投稿の削除が確認された。
この不思議な現象には、ヴィクシーのあるルールが背景にあった。
ヴィクシーモデルはパーソナリティを売る仕事
ヴィクシーはモデルたちの「性格(パーソナリティ)」を重要視していることを以前から公言しており、ファンにもメディアにも愛されるキャラを求めている。
そのためヴィクシーと契約を結ぶと、まずはメディアへの対応術を習うレッスンが待っている。
モデルたちはヴィクシーの顔としてポジティヴなイメージを保つことが求められ、SNSでのネガティヴなコメントやスキャンダルのもととなる投稿をするのはご法度。これが、新しいモデルたちの投稿削除の要因だ。
ヴィクシーモデルの古いツイートが炎上
実際に2016年のヴィクシーショーに初出場したアメリカ人モデルのラメカ・フォックスはショーが全米放送された12月、古いツイートが問題視されてツイッターアカウントを閉鎖。
ラメカは本格的なモデル活動をする前だった15歳の頃、元ヴィクシーエンジェルにして大御所モデルであるジゼル・ブンチェンを、「うぬぼれててマジでむかつく」「もうヴィクシーモデルじゃないんだからうぬぼれるのは止めて」などとツイッターで批判。その投稿がヴィクシーモデルに選ばれた後に発見され、アカウントが大炎上してしまった。
ショーのモデルに選ばれるため、さらにゆくゆくヴィクシーエンジェルに選ばれるためにはこのようなスキャンダルの火種は消しておく必要があり、モデルたちがせっせと古い投稿を消している背景にはそんな理由があった。
世界的に就職活動をする時などはSNSの書き込みに注意する人が増えているが、モデル界でもこれは一緒ということだ。
Text & Photo: フロントロウ編集部(FRONTROW)/ Sonia Kim、スプラッシュ/アフロ、ニューコム、Instagram, Twitter