ハーヴェイ・ワインスタインの性接待強要騒動とは?
米ニューヨーク・タイムズが、10月5日、過去30年にわたってワインスタインが行ってきたセクハラ行為を告発するスクープ記事を投下。
これにより、ワインスタインは自身が重役をつとめるワインスタイン・カンパニーの女性社員や女優に対し、キャリアを後押しする代わりに、「自分がシャワーを浴びるのを見ていてほしい」と命じたり、裸の自分にマッサージをするよう要求していたことが明らかになった。
この記事がキッカケとなり、彼からセクハラ行為を受けたという女性や、性的サービスを強要された、自慰行為を見せつけられた、さらには無理矢理レイプされたという女性たちの告発が相次ぐことに。
事態を受け、ワインスタインは自身が運営する会社から解雇。謝罪声明を発表するも、「そんなことでは済まされない」と世間から多くの批判が集まるとともに、彼のセクハラの実態を把握しながら、これまで口をつぐんできた映画業界全体へのバッシングにまで発展している。
大物女優たちもセクハラ被害に
ワインスタインの毒牙にかかった女性たちのなかには、世間的に名の知れた大物女優も。
ワインスタインがプロデュースを手がけ、第71回アカデミー賞を受賞した映画『恋に落ちたシェイクスピア』(1998年公開)で主演を務めた女優のグウィネス・パルトロウは、1996年、22歳の頃、別の作品を撮影していた際に彼からセクハラまがいの行為を受けたと告白。
ホテルの部屋に呼び出され、ワインスタインからマッサージと称して体に触れられそうになったグウィネスは、当時交際中だった俳優のブラッド・ピットに相談。ブラッドが彼を問い詰めたというエピソードを明かした。グウィネスは、ワインスタインからこのことは絶対に口外しないようにと脅されていたという。
さらに、女優アンジェリーナ・ジョリーも「じつは私も若い頃にワインスタイン氏との嫌な経験があります」とコメント。
「その結果、彼とは絶対に仕事をしないことを選びました。他の女性が彼と仕事をする場合には、彼について警告をしていました、女性に対するこのような卑劣な行為はどの分野であっても、どこの国であっても許されるべきものではありません」と、実際にどのようなセクハラ行為をされたかには言及しなかったものの、90年代後半に映画『マイ・ハート、マイ・ラブ』のプロモーション活動中にワインスタイン氏からセクハラ被害を受けたことを明かした。
セレブたちが反応
現在、海外で物議を醸している同騒動について、これまで彼と共に仕事をしたことのある映画界の人気スターをはじめ、多くのセレブたちが声を上げている。
彼がセクハラ行為の常習犯だったことについて「全く知らなかった」という人もいれば、「噂に聞いていた」というコメントも。
フロントロウが彼らの反応をまとめました。
「ハーヴェイ・ワインスタインに関する恥ずべき報せは、これまで彼と仕事をした経験のある私たちや彼がサポートしてきたチャリティ活動に携わる人々を愕然とさせました。彼の行為を露呈させるために声を上げた勇気ある女性たちは私たちのヒーローです」―映画『プラダを着た悪魔』の女優メリル・ストリープ
「ワインスタイン氏の行為を知って心から不安な気持ちになりました。5年前に彼と仕事をした際には、私は何のハラスメントも受けませんでした。また、彼がこのような行為を行ってきたという事実については知りませんでした。このような行為は弁解のしようがなく、許しがたいものです」―映画『ハンガーゲーム』の女優ジェニファー・ローレンス
「(彼の行為は)擁護のしようがありません。ハーヴェイ本人も認めているようだし、弁護のしようがないです。彼とは20年以上の知り合いで、彼は僕に映画『フロム・ダスク・ティル・ドーン』で俳優としてブレイクするキッカケを作ってくれ、映画監督デビューの際にも後押ししてくれました。撮影現場で一緒に仕事をした仲でもあります。でも、僕は、彼のセクハラ行為に関しては全く知りませんでした」―映画『ゼロ・グラヴィティ』の俳優ジョージ・クルーニー
「彼のような著名で権力を持った大物映画プロデューサーの甚だしい違法行為を明るみにするために声を上げた女性たちをとても勇敢だと思います。ハーヴェイ・ワインスタインが弱い立場の才能ある女性たちにしてきたような行為は、いかなる職場や環境においても行われるべきではありません」 —映画『タイタニック』の女優ケイト・ウィンスレット
「キャリアをスタートしたときから、(彼に関して)警告されていました。(彼の被害にあった女性の)ウワサはたくさん聞いています。今回のことを否定することは、また同様のことが起こり得る環境を作るということです」—映画『インターステラー』の女優ジェシカ・チャステイン
「女優たちとの会話の中で彼の名前が出ると、彼女たちは決まって『うえっ』と気分の悪そうなリアクションをしていました。この社会では、多くの女性たちがワインスタイン氏のような男性に出くわしていることだと思います。ハリウッドで活躍しよう女性はいつもこのような地雷をなんとか避けて通らなければならなかったのです」―ドラマ『グリー』のプロデューサー、ライアン・マーフィー
表向きは「女性の味方」
ワインスタインが悪質なところは、表向きはフェミニストとして女性の権利を主張し、女性の映画関係者の活躍をサポートする事業にも貢献しておきながら、裏では女性の意思を無視した卑劣なセクハラ行為を繰り返してきたという点。
彼の弁護士はスクープ記事を掲載したニューヨーク・タイムズに対して訴訟を起こすとしているが、訴訟を起こすことでさらに悪行が露呈する可能性もあり、むしろ逆効果になるのではないかと言われている。
映画界の重鎮としてもてはやされてきたワインスタインが、ハリウッドを追放される日も遠くはないかもしれない。