実話が題材の絵本「いい人」
以前フロントロウでもご紹介した、子供たちの教育などを支援する「ユース・アンバサダー・プログラム」がつくった、実際に起きた残酷な現実を描いた絵本。
この絵本の中から、物語を1つご紹介します。
「お母さんがどうやって「いい人」を決めているのかわかりません」
「7年の間でお母さんは4人の男の人と5人の子供をつくりました」
「そしてお母さんは「いい人」だと思う人と結婚しました」
「その人はコカイン中毒で、いつもクリスマスプレゼントや誕生日用のお金を盗みます」
「ある日、「いい人」は、コカインを買うお金がなかったから私のお姉ちゃんを殴りました」
「私は家の外に座ってお姉ちゃんが助けを求めているのを聞いていました」
「「いい人」は私の大好きな人たちみんなを追い出しました」
「そして今、私は毎日、孤独におうちにこもっています。「いい人」と一緒に」
物語の背景
この絵本の題材となった作者は、シングルマザーの母が22歳の時に生んだ末っ子。大人しくて純粋で世間知らずだった作者の家族は、母親が結婚した薬物中毒の男性によって崩壊された。
その男性のせいで毎日泣いている母親はそのストレスを兄弟たちにぶつけ、再婚した男性もまた、兄弟たちに暴力をふるった。
作者が8歳の時には、男性は兄妹を1人ずつ家からも家族からも追い出し、最後には作者1人が家に取り残されてしまったのだという。
そんな作者が訴える悲痛な物語を通して、現代社会で起こる残酷な現実の存在を教えてくれた。