過去を舞台にした作品にばかり出演している女優のキーラ・ナイトレイがその理由を語った。

現代劇に出演しない理由

 映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズでブレイクし、2015年公開の『プライドと偏見』でゴールデン・グローブ賞とアカデミー賞の両方で主演女優賞にノミネートを果たした実力派女優のキーラ・ナイトレイ。

 彼女のこれまでの出演作リストを見てみると、圧倒的に多いのが、中世ヨーロッパなどの昔の世界を舞台にした映画の数々。

画像: 左から:『プライドと偏見』(2005年)、『アンナ・カレーニナ』(2012年)© Pride and Prejudice (2005) / Studio Canal, ©Laurie Sparham/Focus Features

左から:『プライドと偏見』(2005年)、『アンナ・カレーニナ』(2012年)© Pride and Prejudice (2005) / Studio Canal, ©Laurie Sparham/Focus Features

 これは単なる偶然などではなく、キーラが日本で言ういわゆる“時代劇”ばかりを選んで出演しているのには、じつは、彼女なりの理由があった。

 キーラは米Varietyとのインタビューでその理由について言及。オリジナル作品のストリーミング配信を行うネットフリックスやアマゾンなどの参入で、昨今の映画・ドラマ界に大きな変革が訪れていることに触れた彼女は、「ストリーミングサービスで放送される作品には、強い女性像が描かれる物語がだいぶ増えてきていると思う」としながら、「映画についてはよく分からないけど。私、現代を舞台とする映画にはほとんど出ないから」とコメント。

 その理由について、「だって現代劇って、登場する女性キャラクターがだいたいいつもレイプされるでしょ? 個人的には、現代劇での女性の描かれ方が不快だと感じることが多いの。私にとっては、歴史モノとかの力強い女性の役のほうがずっとモチベーションが上がるのよね」と説明した。

 キーラの言うように、ストーリー展開を盛り上げる目的で、女性キャラクターのトラウマ的な体験として強姦や性的虐待のシーンなどを盛り込んでいる作品は確かに多く、現在、海外で議論の的に。観客たちに衝撃を与えるためだけに、女性が不当な扱いを受けるシーンを取り入れるのは、観る人にネガティブなメッセージを送っているとの見方も多い。

  

変化の時が来た

 しかし、そんな彼女の作品選びの傾向を知ってか知らずか、最近では仕事の依頼内容に少しずつ変化が見られるようになってきたという。

 キーラは「(映画での女性の描かれ方も)少しは改善されつつあると思う。最近、私の元に送られてくる現代劇の脚本では、主人公の女性が最初の5ページ目までにレイプされたり、単なるガールフレンドや妻として描かれていることは少なくなってきたから」と皮肉交じりに明かした。

画像: 変化の時が来た

 昨今、女性たちによるセクハラや性的暴行被害の告発が相次いでいることについて意見を聞かれたキーラは、これまでのキャリアの中でセクハラ被害に遭ったことはないとしながらも、プライベートで出かけたバーなどでは、男性からセクハラと呼べる行為をされたことが複数回あると告白。

 「レイプとまではいかなくとも、バーなどで体を触られたり、見知らぬ人にバストをじろじろ見られたり、スカートに手を入れられたり…ほとんどの女性たちが、そういう経験をしたことがあるはずよ。今までは、みんな『まあ、普通の事ね』って流してきたかもしれないけど、そんな反応しかできなかったのって最悪だと思う」と語ったキーラ。

 「私たちはいま、女性みんなが声をあげるべき時代に突入したの。みんなで前に進み、こんなことが二度と起こらないようにはどうするべきかという答えを見つけ出すべき時が来たのよ」とセクハラ撲滅運動への支持を力強く表明している。

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