多くのトランスジェンダーが活躍するなか、男性から女性へと性転換手術を行い現在モデルとして活躍するレイナ・ブルームにフォーカス。

 現在アメリカでモデル、ダンサー、活動家として活躍している27歳のレイナ・ブルームは、シカゴ生まれ。フィリピン人の母と黒人の父との間に生まれ、レイナが産まれてすぐ母は母国に強制送還され、父親が男手一つでレイナを育ててきた。

 レイナは幼い時にすでに、男性でいることに疑問を持ち始め、10代前半で女性になることを決意。そのレイナの気持ちをサポートし続けた父親は、性転換手術を受けにレイナがタイに行く時も同行し、ずっと側で見守り続けてくれたという。

人生を変えた「ボール・ルーム」

 女性となった15歳のレイナは、シカゴである運命の出会いをする。それは昔から社会からはみ出し者として扱われていたLGBT+コミュニティの人たちが集まり、ダンスやファッションショーをする「ボール・ルーム」という場所。

 そこで、自由に生きるLGBT+の人たちを目の当たりにしたレイナは、「私たちのような人間にとって、こんな安全な天国があることってとても美しいことだと思ったの。まだ幼かったけど、その時『私は自分の人生で何かを成し遂げてみせる』って言っていたわ」と振り返る。

ピザと夢だけで生き抜いたホームレス時代

 ずっとレイナを支えてきた父親は、「お前にはエネルギーと可能性が詰まっている。自分らしく、そして何かをやり遂げろ」とレイナに言い続けてきた。そんな父親に背中を押され、17歳になったレイナはモデルになるという夢を持ちニューヨークへ旅立つ。

 ほとんどお金もなかったレイナは、持ち物はスーツケースだけで駅で毎日寝ていたという。ご飯は毎日5時に食べる1ドルのピザのみ。あとはモデルになるという夢だけを支えに、毎日ニューヨークの街を歩きつづけ、オーディションを受け続けていた。

歴史を作るトランスジェンダーモデルに

 そんなレイナは、クロマットというブランドのデザイナーのベッカ・マッカーレン=トランと出会い、人生で初めてランウェイを歩く。そこからレイナの人生は180度変わり、なんと2017年にはトランスジェンダーモデルとして初めてインドのVogue誌に登場した。

 これはファッション界でも大きな話題となり、レイナの知名度が上がっただけでなく、トランスジェンダーモデルの活躍の場も広がった。

 現在はLGBT+コミュニティのために広く活動もしているレイナは、世の中は少しずつ変わってきているけれど、まだまだ変化が必要だとBYRDIEでのインタビューで話し、「自分が独特で変わっていることがとても嬉しいわ。そうやって生きていることが、本当に嬉しいの」と語った。

 男性から女性になり、ホームレスからモデルになり、激動の人生を送ってきたレイナは、性の壁を超えようとしている人たち、夢を追いかけている人たちにエールを送り続けている。(フロントロウ編集部)

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