現地時間の4日(日)に開催される第90回アカデミー賞授賞式。そこで、アカデミー賞をもっと楽しむために、今回の有力作品と注目ポイントをフロントロウ編集部が徹底解説!

 ついに翌日に迫った第90回アカデミー賞授賞式。2017年のアカデミー賞では、もっとも注目される最優秀作品賞で、受賞作を間違えるという大ハプニングがあったことも記憶に新しい。今年のアカデミー賞は、複数ノミネートされている強力作品が多く、かなりの接戦となっている。

 そこで、アカデミー賞を楽しむために知っておきたい有力作品や、今年の注目ポイントをご紹介。

5つの有力作品

『スリー・ビルボード』

 娘を殺された母親ミルドレッドが、事件を解決しない警察に腹を立て、巨大な広告看板を設置したことによるミルドレッドと警察との争いが、事態を思わぬ展開へ向かわせることに。トロント国際映画祭で観客賞を受賞し、ベネチア国際映画祭でも脚本賞に輝いた同作は、アカデミー賞の前哨戦と言われるゴールデン・グローブ賞でも作品賞を受賞した。

画像: 『スリー・ビルボード』

 主演を務めたフランシス・マクドーマンドは主演女優賞の大本命と言われており、さらに助演男優賞には同作からウディ・ハレルソンとサム・ロックウェルの2人がノミネートされており、同じ作品から2人という異例のケース。

『シェイプ・オブ・ウォーター』

 今回のアカデミー賞で最多13部門ノミネートされている今作は、アメリカ政府研究施設で働く言葉を話せない女性と謎の生き物との恋の物語。ベネチア国際映画祭では金獅子賞を受賞した今作が、ライバルの『スリー・ビルボード』とどんな争いを見せるのかに注目が集まる。

画像: 『シェイプ・オブ・ウォーター』

 監督のギレルモ・デル・トロ監督は過去に『パンズ・ラビリンス』で、3部門を受賞したこともあるオスカーに強い監督。ゴールデン・グローブ賞では、『シェイプ・オブ・ウォーター』で監督賞を受賞したけれど、その勢いをキープできるか?

『ダンケルク』

 『インセプション』や『インターステラー』などの名作を生んできた天才クリストファー・ノーラン監督が手掛けた、実話をもとに描いた戦争映画。映画評論家たちからも高評価を受けており、オスカーで評価されやすい第二世界大戦をテーマにしていることでも期待が高い。

画像: 『ダンケルク』

 今回のアカデミー賞で注目すべきは、ノーラン監督がじつは監督賞初ノミネートだということ。CGを嫌うノーラン監督がCGなしで挑んだ迫力のある映像、そして陸・海・空の時間軸を交差させた新しい戦争映画を生んだ今作で、その才能がついに認められるのか。

『君の名前で僕を呼んで』

 作品賞、主演男優賞、脚色賞、歌曲賞の4部門にノミネートされた『君の名前で僕を呼んで』は、北イタリアを舞台に17歳と24歳の青年2人が経験するひと夏の恋を描いた作品。ロサンゼルス映画批評家協会賞で3冠に輝いたのを筆頭に、数々の賞レースで受賞を重ねている。

画像: 『君の名前で僕を呼んで』

 今作で主演を務めた若き天才俳優ティモシー・シャラメは、初の主演映画で初のアカデミー賞ノミネート。ほかの主演男優賞にノミネートされたほかの俳優は超ベテランたちばかり。そのなかでどのような健闘を見せるのかに注目。

『レディ・バード』

 自分のことを「レディ・バード(てんとう虫)」と呼ぶ女子高生の成長を描いた青春コメディドラマの『レディ・バード』は、とにかく映画評論家たちから絶賛の嵐。監督のグレタ・ガーウィグは、監督賞の部門でたった1人の女性としてノミネートされており、セクハラや女性の権利で揺れるなかでの受賞となるのか。

画像: 『レディ・バード』

 主演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナンも、現在23歳ながらも過去に2度も主演女優賞にノミネートされている才能の持ち主。

3つの注目ポイント

日本人のノミネートに注目

 今回のアカデミー賞では日本人がノミネートされているところも注目すべき点。メイク・ヘアスタイリング賞には、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』の特殊メイクを担当した辻一弘が3度目となるノミネート。

画像: 引退した辻氏にどうしても担当してほしく、主演のゲイリー・オールドマンが直々にお願いしたという。

引退した辻氏にどうしても担当してほしく、主演のゲイリー・オールドマンが直々にお願いしたという。

 ほかには、短編アニメーション部門に『ネガティブスペース』で監督の桑畑かほるがノミネートされている。

アメコミ初受賞に期待膨らむ

 今回の脚色賞には、アメコミ映画『LOGAN/ローガン』がノミネートされている。芸術性を求められるアカデミー賞でアメコミ映画は評価されにくいカテゴリーのため、アメコミ作品が主要の賞でノミネートされたのは今回が初。

画像: アメコミ初受賞に期待膨らむ

 さらに、視覚効果賞では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』がノミネート。強力なライバルたちに囲まれながらも、アメコミ映画が初の受賞になるのか、ファンの間での期待が膨らむ。

人種差別がテーマの作品、受賞なるか

 評価の基準が厳しいとして知られる映画評価サイト「Rotten Tomato」で、驚異の99点を叩き出した映画『ゲット・アウト』。低予算の5億円で作られ、300億円の興行収入を記録した今作のテーマは「人種差別」。

画像: 人種差別がテーマの作品、受賞なるか

 一時期はノミネーションのほとんどが白人だったために「白すぎるオスカー」と批判されたアカデミー賞で、作品賞、監督賞、脚本賞の3部門にノミネートされた『ゲット・アウト』が見事受賞となるのか。

 見どころたっぷりの第90回アカデミー賞は、現地時間4日(日)、日本時間は5日(月)の朝からスタートする。 

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