1. 受賞者を厳しくチェック
2018年度のアカデミー賞では、前年の作品賞の発表時に起きた「受賞者言い間違い事件」が再び起こらないように、新しい対策が多く導入された。
アカデミー賞ではプレゼンターがステージに上がる直前に、受賞者が書かれた紙が入った封筒がスタッフから渡されるのが慣例。このスタッフが間違った封筒を渡してしまったことが、昨年のミスの原因だった。そのため今年は、スタッフからプレゼンターに正しい封筒が渡されたかどうかをチェックするスタッフを増員。さらに、ステージに上がる前には、プレゼンターとステージマネージャーの両人が正しい封筒かどうかをチェックすることなどが義務化された。
そんなピリピリの状態のなか、今年の作品賞のプレゼンターを務めたのは、昨年の言い間違い事件でプレゼンターを務めたウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイ。再度のチャレンジとなった今年は、無事に、正しい受賞者である『シェイプ・オブ・ウォーター』を発表した。
オスカーの悪夢ふたたび!? 作品賞を受賞した映画『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督が封筒の中身を自らチェックし、「間違ってない!」と大喜び#アカデミー賞 #Oscars pic.twitter.com/yX3zFm9Cpp
— フロントロウ編集部 (@frontrowjp) 2018年3月5日
2. スピーチが短い人に景品を贈呈
授賞式では、喜びとパニックのなかスピーチが長くなってしまう受賞者がたまにいる。そこで今年は、2年連続で司会者を務めたジミー・キンメルの提案で、スピーチが最も短かった人にジェットスキーが贈呈されることに。
結果的に、『ファントム・スレッド』で衣装デザイン賞を受賞したマーク・ブリッジズが36秒のスピーチを行い、約200万円のジェットスキーを手に入れた。
Congrats to Mark Bridges on his new jet ski. #PhantomThread #Oscars pic.twitter.com/x85COzD1xQ
— Phantom Thread (@Phantom_Thread) 2018年3月5日
3. 主演賞の慣例に変化
アカデミー賞では主演女優賞のプレゼンターを前年の主演男優賞受賞者が、主演男優賞のプレゼンターを前年の主演女優賞受賞者が務めるのが慣例だった。しかし2017年に主演男優賞を受賞したケイシー・アフレックが性的暴行疑惑で炎上するなか、彼の出席がなくなりこの慣例も白紙に。
今年の授賞式では、主演女優賞でジェニファー・ローレンスとジョディ・フォスターが、主演男優賞でジェーン・フォンダとヘレン・ミレンがプレゼンターを担当。昨年の主演女優賞受賞者であるエマ・ストーンは、監督賞のプレゼンターを務めた。
4. セレブがライアン・シークレストを敬遠
毎年のアカデミー賞でレッドカーペットに立って大物セレブにインタビューしてきた有名司会者のライアン・シークレスト。そんな彼だけれど、今年は明らかに少ない数のセレブが彼とのインタビューに承諾する結果となった。
助演女優賞にノミネートしていた5人の中でライアンのインタビューに応えたのは2人のみ。主演女優賞にいたっては、ゼロという数字だった。ライアンは元お抱えスタイリストの女性からセクハラを告発されており、本人は否定しているが、その影響を感じる結果となった。
Almost showtime. #eredcarpet #oscars pic.twitter.com/XwjWeW1DfH
— Ryan Seacrest (@RyanSeacrest) 2018年3月4日
5. プレゼンターやノミネーションに多様性
チリ出身の女優ダニエル・ベガが、トランスジェンダーであることをオープンにしている人として初めてオスカーのプレゼンターに抜擢。『君の名前で僕を呼んで』の挿入歌「ミステリー・オブ・ラブ」のパフォーマンスを紹介した。
ほかにも、レイチェル・モリソンが『マッドバウンド 哀しき友情』で女性として初めてアカデミー賞撮影賞にノミネートされ(『ブレードランナー 2049』が受賞)、『ストロング・アイランド』で長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされたヤンス・フォード監督はトランスジェンダーであることをオープンにしている監督として初めてのアカデミー賞ノミネーションを果たした(『イカロス』が受賞)。
Daniela Vega is the first openly transgender person to ever present at the #Oscars. https://t.co/DNWArXgVva pic.twitter.com/x4TEBKLYTt
— ABC News (@ABC) 2018年3月5日
6. オスカー90年の歴史で初の快挙
映画『ゲット・アウト』のプロデュース・監督・脚本などを担当したジョーダン・ピールが、アフリカ系アメリカ人として初めて脚本賞を受賞。第90回目にして、初の快挙が達成された。
自身初のオスカーを受賞したジョーダンは受賞スピーチで、「無理だ、成功しない、誰も映画化してくれないと思って、この映画を作ることを20回は断念しました。ただ、もしも誰かが映画化させてくれたら人々は聞いてくれるし観てくれるはずだという思いで、何度も制作を再開したのです」と、映画作りの裏の苦悩を語った。
約5億円で制作された『ゲット・アウト』は、世界興収が250億円を突破している。
7. ハーヴェイ・ワインスタインは不在
オスカーの受賞スピーチでもっとも感謝されてきた人物のひとりと言われる大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインと言えば、オスカーの会場に欠かせない存在だった。
しかし今年の授賞式では、長年にわたるセクハラ行為が告発されて業界を追放された彼の姿はナシ。司会を務めたジミー・キンメルは彼の話題に触れ、「アカデミー協会が昨年行動を起こし、ハーヴェイを追放した。ほかにも良いノミネーターはいたけど、彼がもっともその栄誉にふさわしかった」と、辛辣なジョークを飛ばした。
本年度のオスカーの司会者ジミー・キンメルが、オスカー像が尊敬されている理由を説明しながらセクハラ問題にジャブ。
— フロントロウ編集部 (@frontrowjp) 2018年3月5日
「彼を見てごらん。両手は見えるところに置いているし、不適切な発言をすることもない。そして何よりも重要なのが、彼にはチ〇チ〇がない」#Oscars #アカデミー賞 pic.twitter.com/ui7tFUMq3t
※同記事はアワード司会者の氏名、『ゲット・アウト』監督の受賞部門に誤りがあったため修正しました。