ギレルモ監督が「鬼才」と言われる理由
監督としてだけではなく、脚本家や小説家としても活躍するギレルモ・デル・トロ。
『ヘルボーイ』や『パシフィック・リム』などのアクション作を得意とするギレルモ監督だけれど、今回は“半魚人”と人間の究極の恋を描いた映画『シェイプ・オブ・ウォーター』で、第90回アカデミー賞の作品賞・監督賞ほか全4部門を受賞した。
多くのヒット作を手掛けながらも、今回が初の監督賞となったギレルモ監督。受賞時のスピーチでは、メキシコからの移民である自身の生い立ちを語った上で、人間と“半魚人”との恋を描いた作品に重ねて、「映画作りをする僕たち業界の良いところは、境界線を消すことができる」と語った心打つスピーチが称賛された。
今、最も話題の映画『シェイプ・オブ・ウォーター』と合わせて観たい、ギレルモ監督が手掛けた名作をご紹介します。
『ヘルボーイ』シリーズ
『ヘルボーイ』、『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』の2作は、アメコミが原作のファンタジーアクション映画。ナチスの科学実験によってこの世に現れた悪魔の子ヘルボーイが人間によって育てられ、正義のために闘う。
『パシフィック・リム』
世界中を襲撃する謎の巨大生命体を倒すために、人型巨大兵器イェーガーを操縦するパイロットたちの姿を壮大なスケールで描いたSFアクション。子役時代の芦田愛菜が出演したことで日本でも話題になった。
『クリムゾン・ピーク』
ゴシック・ロマンスという新たなジャンルを確立させた同作は、死んだ母親の幽霊と遭遇したことで幽霊が見えるようになった女性が、結婚して暮らす屋敷に潜む恐ろしい秘密を解いていくという物語。
不気味なストーリーのなかに、美しい音楽と繊細なタッチで人間の本質に切り込んでいく作品は、多くのファンをうならせた。
『ホビット』シリーズ
言わずと知れた大ヒット作『ロード・オブ・ザ・リング』のスピンオフ作として作られた『ホビット』シリーズで脚本を担当したのも、ギレルモ監督。
当初は監督も務める予定だったが、スケジュールの問題で脚本の参加のみになったけれど、独特の世界観を生み出すギレルモ監督のDNAは、劇中にも表れている。
『カンフー・パンダ2』と『長ぐつを履いたネコ』
大ヒット『カンフー・パンダ』の第2弾と、『シュレック』のスピンオフ作という、ドリームワークス・アニメーション製作による大作2作に、製作総指揮として参加。日本のマンガなどにも強く影響を受けたというギレルモ監督は、アニメーション作でも、その存在力を発揮させた。
アクションからファンタジー、ロマンス、さらにアニメーション映画でも、独自の才能を発揮する幅の広さは、まさに鬼才と言われるに等しい存在。
そんな様々なジャンルの作品を手掛けるギレルモ監督が、初めてオスカーを受賞した映画『シェイプ・オブ・ウォーター』は、現在公開中。