犯行動機は“復讐”?
今から約11年前の2007年、当時14歳だったエイブラハム・バドゥルは英ロンドン市内にある公園の敷地内で、少女が集団レイプされている現場を目撃。14歳という年齢を考えると恐怖から逃げ出してしまってもおかしくはなかったが、エイブラハムは勇敢にも被害にあっていた少女を救いだし、後に警察からその功績を称えて感謝状を贈られた。

その後、集団レイプ事件の被害者は14歳の少女で、ギャングのメンバーだった加害者の1人と別れ話がもつれた末、レイプ被害にあったことが少女の証言から明らかになり、加害者たちは警察に逮捕された。
しかし、それから約11年後に悲劇は起こった。
エイブラハムが、自宅のすぐそばで何者かによって射殺されたのだ。

事件の詳細はまだわかっていないが、エイブラハムの家族は彼が殺されたのはギャングの“復讐”によるものと考えているという。実際、エイブラハムが関わった集団レイプ事件の加害者のほとんどがすでに出所しており、エイブラハムの自宅近くに住んでいることがわかっている。
少女を集団レイプ事件から救ったヒーローとして地元民から知られていたエイブラハムだったが、事件後、彼とその家族はギャングによる復讐をずっと恐れていたという。
彼の母親は、英Daily Mail誌の取材に、「被害にあった女性は名前も変えて新しい人生を手にし、守られているけど、息子は違った。彼にも同じような保護が必要だったのに。彼も(レイプ事件の)被害者です」と、息子を亡くした憤りをぶつけた。