不寛容政策に反対 セレブからの支援相次ぐ
親と引き離された子供たちが金属製のフェンスでできた檻のような設備の中に集団収容されている様子の写真や、不安で親に会いたいとすすり泣く音声などが出回ったことをきっかけに、SNS上では2週間ほど前から「Keep Families Together(家族たちを引き離すな)」というハッシュタグやメッセ―ジを掲げてフォロワーたちに米政府への抗議や移民たちへの支援を呼びかけるセレブたちの投稿が急増。
俳優のジョージ・クルーニーと夫人のアマル・クルーニーは、連名で移民の子どもたちの人権擁護のための慈善団体に10万ドル(約1100万円)を寄付。シンガーのジョン・レジェンドとモデルのクリッシー・テイゲン夫妻も、6月14日に72歳を迎えたドナルド・トランプ米大統領への誕生日プレゼントと皮肉的に銘打ってアメリカ自由人権協会に28万8千ドル(約3200万円)を寄付したと発表した。
抗議運動が激化
不寛容政策の見直しや移民家族たちへの処遇改善を求めて、先週からさらに抗議運動が激化。アメリカ国内の各都市でデモ行進やラリーが行われ、たくさんのセレブたちもSNSでメッセージを発信するだけにとどまらず、さまざまな行動を起こした。
俳優のジョニー・デップの元妻で映画『ジャスティス・リーグ』の女優のアンバー・ハードやシンガーのシーア、日本映画『タイヨウのうた』のハリウッド版である『ミッドナイト・サン~タイヨウのうた~』に主演した女優のベラ・ソーン、ドラマ『GIRLS/ガールズ』の女優レナ・ダナムら、多数のセレブが移民収容施設があるテキサス州のメキシコ国境の街トルニージョで行われている抗議デモに参加。
「アパルトヘイト(人種隔離政策)は合法とされ、ホロコースト(大量虐殺)も合法とされた。合法か違法かは正義ではなく権力によって決められる」というメッセージを掲げるアンバー・ハード。
下段中央で「#Keep Families Together」と書かれたプラカードを掲げるレナ・ダナム。左隣がベラ・ソーン。俳優のジョシュア・ジャクソンや女優のコンスタンス・ウーらの姿も。
普段は大きなおかっぱヘアのウィッグを着用し、覆面シンガーで通しているシーアも顔出しでデモに参加。
カリフォルニア州ロサンゼルスで行われた「キープ・ファミリーズ・トゥギャザー集会」では、人気ドラマ『ヴェロニカ・マーズ』への主演やディズニー映画『アナと雪の女王』でアナの声を担当したことでも知られる女優クリスティン・ベルが熱いスピーチを繰り広げ、収容施設で生活する子供たちへと贈るおもちゃの寄付などを募った。
人気ドラマ『ウエストワールド』の女優エヴァン・レイチェルウッドは、収容施設からは出たものの、次の処遇を待っている移民家族たちの元を訪れ、自ら購入した支援物資などを手渡したほか、当初2400人と報じられた親と引き離された移民の子供たちの無事を祈り、支援者たちが24日間に渡って交代で24時間の断食に挑戦して祈りを捧げる「Break Bread Not Families(家族を引き裂くのではなく、パンを分け合おう)」と題したハンガーストライキへの参加も明らかにしている。
処遇待機中の子供たちが暮らす施設を訪れ一緒に遊ぶエヴァン。彼女は「移民の家族たちが経験している苦しみに比べれば、断食による空腹はささいなものです」と米Peopleにコメントしている。
世界規模での大きな反発を受け、現地時間の20日、ドナルド・トランプ米大統領は引き離し措置を停止し、親と子を一緒に収容する大統領令に署名。21日には、メラニア夫人が収容施設を訪問した。しかし、すでに引き離された子どもたちに対する救済策は決まっておらず、今もなお2000人以上の移民の子供たちが親と引き離されたまま不安な時を過ごしていると伝えられている。(フロントロウ編集部)