スーツに込められたガガの思い
先日、米Elleが主催するイベント「ウィメン・イン・ハリウッド(Women in Hollywood)」に出席したレディー・ガガが、超オーバーサイズのスーツを着ていた“理由”が話題になっている。
この日、イベントの名前でもある「ハリウッドを代表する女性」の1人に選出されたガガは、ステージに登壇して披露したスピーチのなかで、今回のイベントのためのドレス選びをする過程である葛藤があったことを明かした。
「何着ものドレスを試着するたびに、コルセットでウエストを絞っては緩めを繰り返し、何十足ものヒールを履き、さらにダイアモンドにフェザー、ビーズの刺しゅうがほどこされた世界で最も美しい生地を目の前にしているうちに、なんだか胸がムカムカしてきたの。そして自分にこう問いかけた。『ハリウッドを代表する女性とはなんだろう?』と。私たちは世の中を楽しませるための“モノ”ではない。人を笑顔にしたり、不機嫌な顔にしたりする存在でもない。世間からの圧力を理由に他人を蹴落とそうとするミスコン出場者でもないわ。私たち女性にはこの世界についてとても深い考えやアイデア、信念、価値があるだけでなく、声を上げ、その声を届ける力がある。たとえ世間から黙殺されようと、立ち向かう力がある」
こう語ったガガは、そんな思いを抱えながら10着以上のドレスを試着し終わったところで、部屋の片隅に埋もれていたマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)のオーバーサイズのスーツを見つけたという。
「私が今着ているのは、女性用に作られたメンズのオーバーサイズ・スーツよ。ドレスではなくてね。このスーツを試着した直後に目から涙がこぼれ落ちたわ。このスーツを着ていると、自分らしくいられる。このスーツを着ていると、体中にパワーがみなぎる。そうこうしているうちに、今夜ここで何を伝えたいのかはっきりとわかった。同じ業界にいる男性から性的暴行を受けた被害者として、私を傷つけた男性の名前を口にすることを恐れない1人の女性として、(性的暴行を受けたことが原因の)慢性的な痛みを抱える者として、まだとても若い時に男性の指示に従うよう教え込まれた者として、私は今日ここでパワーを取り戻すことを決めました。(その第一歩として)今日、私はパンツをはいています」
自分らしくいることが、いまだ多くの女性が虐げられているこの世界に対する「抵抗」になると語ったガガのこの力強いスピーチに、観客から惜しみない拍手が送られた。(フロントロウ編集部)