障がい者協会から猛バッシングされた映画を仮装に
2018年の平昌オリンピックで3度目の金メダルを獲得したスノーボート選手のショーン・ホワイトに、非難の声が相次いでいる。
バッシングの声が寄せられているのは、ハロウィンのイベントでショーンが着用したコスチュームについて。
今年のハロウィンでショーンが選んだ仮装は、2008年に公開された映画『トロピック・サンダー/史上最低の作戦(Tropic Thunder)』に登場する、ベン・スティラーが演じたシンプル・ジャック。
『アベンジャーズ』のロバート・ダウニー・Jr.や、『ジュマンジ・ウェルカム・トゥ・ジャングル』のジャック・ブラックなどの人気俳優が出演したこの映画は、戦争映画を撮ろうとした俳優たちが本物の戦闘に巻き込まれるというコメディ作品で、ベンが演じたのは知的障がい者のシンプル・ジャックという役。
このシンプル・ジャックの描かれ方と、劇中に「Retard(※差別的な意味合いでの障がい者という意味)」という言葉が登場することから、知的障がい者を侮辱しているとして、公開当時、アメリカの障がい者協会AAPDを中心に大炎上した。
そんな出来事から10年の月日が経った今、ショーンがシンプル・ジャックの仮装をした姿をインスタグラムに投稿したことで、「障害はジョークじゃない」「これを仮装に選ぶなんて最悪の選択」といったコメントが殺到し、大バッシングを受けている。
これを受けて、ショーンは問題の投稿を削除。新たな投稿をSNSに投稿して謝罪文を発表した。
「スペシャルオリンピックス(※)の方々へ、先日僕が選んだハロウィンコスチュームについて謝罪します。あれは駆け込みで決めたもので、間違っていました。スペシャルオリンピックスが非難しても仕方がない。素晴らしいアスリートたちのサポートに注力を注いでいるのに、無神経なことをしてしまってごめんなさい。失敗から学びました」
※スペシャルオリンピックスとは、知的障害のある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を提供している、ボランティアと善意の寄付による国際的なスポーツ組織。
この投稿に対して、スペシャルオリンピックスの公式ツイッターが返信。「私たちのコミュニティに耳を傾けてくれてありがとう。あなたはアスリートとのトレーニングにいつでも招待されていますよ!」と寛大な言葉でショーンの謝罪を受け入れた。
ショーンが謝罪したことで事が収まったと思われたけれど、ショーンの謝罪から一夜。『トロピック・サンダー』でシンプル・ジャックを演じたベン本人が、ショーンの仮装によって再び映画をボイコットしようとツイートしたユーザーに返信するかたちで、騒動に触れた。
「『トロピック・サンダー』は10年前にもうボイコットされていて、その時に謝罪した。この映画は賞を取りたがる俳優を馬鹿にするつもりで描いたもの。僕は自分の謝罪に則って、映画とショーン・ホワイトと、スペシャルオリンピックスで働く素晴らしい人々とその仕事をサポートする」と、映画がバッシングされた当時から、この映画が知的障がい者を侮辱する作品ではないことを明確にしていたことを明かすとともに、映画とショーン、そしてスペシャルオリンピックスをサポートする意思を表明した。(フロントロウ編集部)