歌唱力よりやる気&自信
世界中で大ヒットを記録している映画『ボヘミアン・ラプソディ』で、伝説的バンド「クイーン」のボーカルだった故フレディ・マーキュリーを演じるラミ・マレックが、オーディションの際に自分はシンガーじゃないから「シンガーのようには歌えない」と正直に伝えたことを米NMEのインタビューで明かした。
「(映画のプロデューサーと)6時間近くミーティングをしたよ。彼は、僕がフレディとは対照的な、疎外された社会不安の塊の主人公を演じた(主演ドラマの)『MR.ROBOT/ミスター・ロボット』以外の僕の出演作を見たことがなかった。でも、僕に何か可能性を感じたみたいで、チャンスをくれたんだ。だから、正直に伝えた。『聞いてくれ。僕はシンガーじゃないから歌えないし、ピアノも弾けないし、変なダンスしか踊れない。リズムをとっているとも言えないようなね』って」
こう話した直後に、こんな言葉がラミの口をついて出てきたという。
「自分でもなぜかわからないけど、続けてこう言ったんだ。『時間さえあれば、あなたたちが求めている場所に僕はたどり着ける。あなたたちが、僕に必要なものを僕が手に入れる手助けをしてくれれば』ってね」
たとえ演者にフレディほどの歌唱力を求めていなかったとしても、先に「歌えない」と言われてしまうと、普通なら「じゃあ、ちょっと...」と思ってしまうものだが、プロデューサーたちはラミの正直なところと、何より“自分ならできる”というやる気と自信に心を動かされたよう。
ちなみに、プロデューサーたちの期待通りフレディ役を好演したラミは、アカデミー賞の前哨戦と言われるゴールデン・グローブ賞の主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされている。(フロントロウ編集部)