前監督が謎の解雇
映画界最高峰のアワード、アカデミー賞で主要部門の作品賞、主演男優賞を含む計5部門にノミネートしたロックバンド、クイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディ』。
日本での興行成績が100億円を突破し、世界中でも大ヒットを記録している同作の監督が、撮影終了ギリギリになって異例の解雇に追い込まれたのは有名な話。
製作当初から同作を引っ張ってきたのは、映画『X-MEN』シリーズなどで知られるブライアン・シンガー。
しかし、全米監督協会の規則に従って、クレジット上は監督として名を連ねているものの、制作総指揮には後任のデクスター・フレッチャーの名前が記載されている。
ブライアンの解雇理由については、公式発表では「本人および家族の健康問題」と説明されたが、一方では、ボーカルのフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックやスタッフたちとの確執も報じられた。
そしてもう1つ、ブライアンが『ボヘミアン・ラプソディ』を去る原因となったのではないかと言われているのが、彼が過去に起こした未成年男性へのレイプ疑惑。
ブライアンは2017年、ある男性から「まだ17歳だった2003年にヨットの上で性的暴行を受けた」として訴えを起こされている。このことが明らかになったのは、ブライアンの降板が発表さた直後。
ブライアンはこの男性の主張を真っ向から否定しているが、『ボヘミアン・ラプソディ』のキャストやスタッフたちが、華々しいアワードの場やインタビューなどでブライアンの名や彼への感謝を口にすすることは無い。
ちなみに、ラミはアカデミー賞のノミネートが発表された直後のLos Angels Timesとのインタビューで、ブライアンに関する未成年性的虐待については把握していなかったという主旨のコメントしている。
新たな告発者が相次ぐ
そして、さらに今週、未成年時代にブライアンから性的虐待を受けたり、彼と淫らな行為を行なったという男性4人が新たに名乗り出た。
米メディアThe Atlanticが、ブライアンによる男性たちへのセクハラや性的暴行に関して50人以上にもおよぶ関係者の証言をもとに執筆された告発記事を掲載。
その中には、ブライアン監督作『ゴールデンボーイ』の撮影にエキストラとして参加した、当時13歳だった男性が、撮影現場となった自身が通学する学校のロッカールームで、ブライアンから待機中に何度も裸の胸や性器に触られるなどのセクハラ行為を受けたというものや、15歳の頃にブライアンと性行為におよんだという別の男性の証言も。
さらに、ブライアンが主宰したパーティに参加し、彼とオーラルセックスをしたという男性は当時17歳か18歳、複数回にわたって彼と肉体関係を結んだという別の男性は当時17歳だった。
同記事には、告発者の男性たちの実名や写真なども掲載されている。
ブライアンは弁護士を通じて一連の未成年への性的虐待を否定。「未成年男性と性行為におよんだことも無ければ、未成年男性を好む性的嗜好を持っているという説についても断固として否定する」とコメントしているほか、米Deadlineを通じて発表した声明の中で、The Atlanticに掲載された記事に登場した告発者たちを「金銭目的」と揶揄、さらに同誌を「『ボヘミアン・ラプソディ』が数々の賞を獲得したり、ノミネートされたことに便乗している」と批判している。(フロントロウ編集部)