大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演する女優のエミリア・クラークが、じつは同作の撮影期間中に大病を患い、複数回にわたって手術を受けていたことを告白した。(フロントロウ編集部)

生死の境を彷徨う

 2011年に放送を開始したファンタジードラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』で、ドラゴンを操る若き”女王“デナーリス・ターガリエンを演じているエミリア・クラーク

 シーズンを追うごとにパワフルな女性へと成長を遂げるデナ―リスを体当たりで演じるエミリアの演技は世界中のファンたちを魅了している。

 シリーズ最終章となるシーズン8の放送開始まで残り1カ月を切るなか、エミリアが米New Yorkerに長文の手記を寄稿。そこには、これまで彼女がひた隠しにしてきた、衝撃の内容がつづられていた。

画像: 2019年のアカデミー賞授賞式に参加したエミリア。

2019年のアカデミー賞授賞式に参加したエミリア。

 エミリアは、『ゲーム・オブ・スローンズ』の第1シーズンの撮影終了後、次のシーズンに向けてトレーニングをしていた際、突如、割れるような頭痛に襲われ、病院へと緊急搬送。クモ膜下出血と診断され、手術を受けたことを告白した。

「まるで頭に輪ゴムが巻きつけられたみたいに締めつけられるような痛みを感じたわ。そのまま我慢してエクササイズを続けようとしたけどダメだった。トレーナーにちょっと休憩したいと伝えて、這うようにロッカールームに辿り着いた私は、トイレに駆け込んだけど、そのままものすごく具合が悪くなった。撃たれたような、刺されたような、伸縮するような痛みが続き、どんどん悪化していった。そして、私は気づいたの。『私の脳はダメージを受けたんだ』って」

 幸いなことに、トイレに入ってきた女性が個室でうずくまるエミリアの異変に気づき、助けを読んでくれたおかげで、そのまま病院へと搬送されたエミリア。医師からは、クモ膜下出血との診断を受け、脳内出血が見られると告げられた。


自分の名前が思い出せない

 クモ膜下出血は、最悪の場合死に至ったり、脳に永久的な損傷が残ってしまう病気。症状が命に関わるほど悪化するのを避けるため、エミリアは3時間におよぶ手術に臨んだ。

 『ゲーム・オブ・スローンズ』への出演でようやく女優として花開いたばかりだったエミリアは、手記の中でこの時のことを振り返り、「正直、私には、忙しすぎて脳手術なんて受けてるヒマは無いって思ってたわ」と手術には乗り気でなかったことを明かしている。

 脚の付け根から心臓、そして脳にワイヤーを通す、低侵襲(ていしんしゅう)手術(※2)から目を覚ました彼女は、合併症が起きないよう、2週間のあいだ細心の注意を払って過ごした。

※1 悪いところを治すために、皮膚に傷を作り、体の内部を展開して行う患者への負担が少ない手術。

画像: 自分の名前が思い出せない

 しかし、2週間が経った頃、エミリアは、記憶障害に見舞われることに。自分の名前が思い出せなくなり、口に出すこともできなくなってしまった恐怖の時間をこんな風に振り返っている。

「それまで、あんな恐怖を味わったことは無かった。死がどんどん迫ってきているような感覚だった。このままだと自分の人生がどうなってしまうのか、生きてる意味が無いんじゃないかと不安になった。私は役者よ。セリフだって覚えなくちゃいけないし、自分の名前すら思い出せないなんて…。どん底まで落ち込んだときは、もう終わりにしてしまいたいとすら思った。病院のスタッフに『死なせてほしい』とお願いしたこともあるわ」

 それから1週間が経ち、エミリアは何とか言葉を発せるようになったものの、今度は前回とは反対側の脳にも動脈瘤が見つかったと告げられ、いつ破裂してもおかしくない状況だと告げられた。

 その時点では、命に危険はないということで医師からOKをもらったエミリアは、脳に爆弾を抱えたような状況で、『ゲーム・オブ・スローンズ』のプロモーション活動に参加。合間にモルヒネ(※2)を服用しながら数々のインタビューをこなしたという。

※2 強力な痛み止めとして使われる医療用麻薬。

画像: 2011年7月、キャストたちとコミコンでのプロモーション活動に参加したエミリア(写真右端)。

2011年7月、キャストたちとコミコンでのプロモーション活動に参加したエミリア(写真右端)。

 シーズン2の撮影中は「毎日、毎分、死ぬんじゃないかと思ってた」というエミリアは、痛みや極度の疲労に必死に耐え、何とかクランクアップに漕ぎつけた。

 シーズン3の撮影が終了した頃には、動脈瘤のサイズが2倍にも大きくなっており、ついに手術が必要に。1度目の手術は成功せず、頭蓋骨の内部に侵入する手術を受けた。彼女の頭には、その時に切り取った骨の代わりにチタンが埋め込まれている。

 そんな大病におかされながらも、絶対に世間にはそのことを明かさなかったエミリア。ウワサを嗅ぎつけた記者たちが、彼女に病気に関する質問を投げかけても、なんとか嘘をつき通したという。


チャリティ団体を発足

 そんな彼女が、今になり、自身の闘病を明かすことになったのは、術後の経過が良く、無事に回復を遂げたから。

 「今はもう、100%健康」と語ったエミリアは、自身と同じように脳の怪我や病気などから回復しようとしている人々をサポートするためのチャリティを発足したことを報告。

 インスタグラムを通じて、チャリティ団体「SameYou(セイム・ユー)」を立ち上げたことを告知し、「脳損傷や脳卒中は、若者の人生を徹底的に破壊します。世界中には神経学的リハビリテーションを必要とする何百万という人がいるのです。どうかこの問題を解決しましょう」と、世間に対して理解を深め、支援の輪を広げようと呼びかけた。

 エミリアは、自身が奇跡的に回復を遂げ、無事に『ゲーム・オブ・スローンズ』を最後まで撮り終えられたことについて、「すごく達成感があって、幸運以上のこと」、「この物語の最後を見届けられること、そして人生における新たな章をスタートできることが心から嬉しい」と手記を締めくくっている。

画像: 先行公開された【ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン8の場面写真。

先行公開された【ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン8の場面写真。

 エミリアが出演する『ゲーム・オブ・スローンズ』のファイナルシーズンは、日本時間の4月15日より全世界同時放送が開始する。(フロントロウ編集部)

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