女性特有の性器の感染症の治療法として「あの野菜」を膣に入れると治るというウワサが拡散。女性器のエキスパートである産婦人科医師の警告に注目が集まっている。(フロントロウ編集部)

  腟内の常在菌であるカンジダという真菌が異常に増殖することによって起こる「カンジダ膣炎」。女性の5人に1人が経験すると言われるこの病気は、デリケートな場所なだけに、医師に相談することさえも恥ずかしく感じてしまうという女性が多い。

 そんな理由からも、自宅でなんとか治療しようと試みる人も多いのだが、ここ最近になり、「にんにくを膣内に挿入するとカンジダ膣炎の症状が改善する」という昔からまことしやかに囁かれている科学的・医療的根拠のない説が出回るように。

画像: 女性のアソコに「あの野菜」を入れないで!医師が本気の警告

 これに、女性器の仕組みや不思議について綴った『The Vagina Bible(ザ・ヴァジャイナ・バイブル)』の著者である産婦人科医のジェニファー・ガンター医師が医学的見地から反論。

 「#Vaginaisanogarliczone(女性のアソコはにんにく立ち入り禁止ゾーン)」というハッシュタグまで立ち上げて、なぜにんにくをアソコに挿入するべきではないのかを詳しく説明した。

 怒涛の連投ツイートでガンター医師はこう説明。

 にんにくにはアリシン(※1)が含まれています。実験室においては、(カンジダ菌などに対して)抗真菌剤としての役割を果たすかもしれません。しかしその効果はマウス実験において証明されたわけではなく、細胞実験用のプレパラートを用いた実験において認められたというだけです。あなたの女性器は、プレパラートではありません。
※1 強い抗菌・効カビ作用を持つ化合物

 にんにく片をそのまま女性器に入れるとカンジダ膣炎に効果的だという説が出回っていますが、アリシンは、少なくともにんにくを細かく切るか、潰すかしないと放出されません。

 ニンニクには土壌からの細菌が潜んでいる可能性もあります。土壌中に含まれる細菌は病気の原因となることがあります。(中略)もしそれらの細菌がカンジダ膣炎で炎症を起こしている性器に触れたら、悪化する可能性しかないのです。

 もしもニンニクを砕いて女性器に詰め込んだとしても、まだ衛生的な問題があります。ニンニクのみじん切りが剥き出しの傷口に触れる様子をイメージしてみてください。とても、痛いですよね? それに婦人科に行ってニンニクを取り出してもらう時の恥ずかしさと言ったら…。

 カンジダ膣炎を自宅で治療しようとする50~70%の女性が、じつは、カンジダ膣炎にはかかっていなかったという情報があります。性器に感じる痒みはカンジダ菌への感染によるものではなく、ほんの一時的だったという可能性も多いのです。

 にんにくでカンジダ膣炎が治ったと触れ回っている人の多くは、プラシーボ効果(※2)により一時的にそう感じているだけなのだと思います。どうか、にんにく療法を推奨する人からのアドバイスに耳を傾けないでください。
※2薬理作用に基づかない薬物の治癒効果。投薬の形式に伴う心理効果(暗示作用)。

 「本当に、実際にそんなことをしている女性がいるの? 」と耳を疑ってしまう説に対して、生真面目に、丁寧に、そしてユーモアを交えて警告を発したガンター医師のツイートには、大きな注目が集まっている。

 彼女の解説を読んでも、まだ、にんにくを性器に挿入しようとする女性はいないとは思うが、もしもカンジダ膣炎の気配を感じたら、自分で何とかしようとせずに、きちんとした知識をもった医師にアドバイスを求めるのがベスト。

 ちなみにガンター医師は、同じような理由から、女性が自慰行為によく使うと言われている”キュウリ”を膣内に挿入するのもやめたほうがいいと警告している。(フロントロウ編集部)

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