LGBT+コミュニティへのサポートで功績を残した著名人やメディアを表彰する2019年GLAADメディア賞授賞式がアメリカで開催され、シンガーのマドンナが、改革を起こしてきた人に贈られるThe Advocate for Change Awardを受賞した。
幼少期に「自分は社会のどこにも馴染めない」と感じていたマドンナの人生を変えたのはLGBT+コミュニティだった、と受賞スピーチで明かしたマドンナは、ある1人の先生について語り始めた。
「彼は私のバレエの先生だったの」と話したマドンナは、自身が通っていたバレエ教室の先生だったクリストファー・フリンについて振り返った。
彼は、マドンナが出会った初めての同性愛者だったという。彼が自分に自信をくれたと話すマドンナは、「些細なことかもしれないけど、彼が初めて私のことを美しいって言ってくれたのよ」と、誰もが心に変化を迎える思春期の、忘れられない思い出を明かした。
こうしてクリストファーへの信頼を深めていったマドンナに、クリストファーも心を開いていったそうで、彼はある日マドンナをLGBT+の人々が集まるクラブに連れていったという。その夜が、のちにポップの女王となるマドンナの人生を変えた。
「男性が男性とキスしていて、女の子たちが男みたいな恰好をしていて、男の子たちがショートパンツを履いてた。それまでに見たことがないほど意味がわからなくて、自由で、楽しくて、幸せな光景だった。自分はひとりじゃないって、そして、他の人と違って良いんだって初めて思えた。希望をもらったの」
のちに、マドンナが所持金35ドル(約3,900円)でニューヨークに向かったのは有名な逸話。このマドンナの決断を後押ししてくれたのもクリストファーだったそう。
ポップの女王として名声を極めたマドンナの原点ともいえるLGBT+コミュニティ。しかし、LGBT+当事者がセクシャリティや周囲の人との関係に悩み自殺を図る事件は、依然として起こっている。自身の同性愛者の友人が亡くなったあとで、声を挙げる重要性を知ったというマドンナは、GLAADメディア賞授賞式の数日後に応じた米Todayのインタビューでファンにこうメッセージを送った。
「希望を諦めないで。諦めないで、なにがあっても」
(フロントロウ編集部)