ミズーリ州でも中絶禁止法が可決
米アラバマ州で、全米で最も厳しい中絶を禁止する法案が可決されたことで多くのセレブが憤りの声を上げているなか、現地時間16日の朝、ミズーリ州でも中絶禁止法が可決された。
ミズーリ州は賛成24反対10で、妊娠8週目以降に中絶することを禁止。医療措置を必要とする場合を例外に、レイプや近親相姦によって妊娠した場合でも中絶は認められない。
中絶手術をした医師は、5年から15年の禁固刑が科せられる可能性があると、米AP通信が報じている。
法案が法律になるまでの決定権を持つミズーリ州のマイク・パーソン知事は、「全米で最も強いプロライフ(※)の州のひとつになるだろう」とコメントしている。
※プロライフ(Pro-Life)とは、主に中絶反対のことを指す言葉。
アメリカでは2018年から中絶禁止の法案が議論されはじめ、2019年だけで16の州が中絶禁止法を制定した。
全米で相次ぐ中絶禁止法の制定の背景には、ドナルド・トランプ大統領がニール・ゴーサッチ裁判官とブレット・カバノー裁判官を最高裁判事に指名したことにある。
保守的な考えを持つ2人が最高裁判事になったことで、中絶反対派はこの機会に、中絶を女性の権利として認めた1973年の連邦最高裁判所のロー対ウェイド判決を違法にしたい考えがあると見られている。
ハッシュタグ「#youknowme」で中絶を告白
各州で相次ぐ中絶禁止法と、ロー対ウェイド判決を揺るがしかねない事態によって、女性の人権を守る法律が全米で変わってしまうかもしれない危機に直面している今、ネット上では、ハッシュタグ「#youknowme(#ユーノウミ―)」を使って、中絶をした過去を語る女性が増えている。
アラバマ州での中絶禁止法案の可決を受けて、女優のビジー・フィリップズが使い始めたこのハッシュタグ「#youknowme」は、2017年に生まれたセクハラ撲滅運動の一環で自身のセクハラを告発・告白する「#MeToo」と同じく、中絶禁止法に抗議するために中絶の経験を語るというもの。
ビジー自身も、トーク番組『ビジー・トゥナイト(Busy Tonight)』で、自身の過去を打ち明け、声を上げていこうと訴えた。
「中絶した女性をひとりも知らないと思っている人がいるかもしれない。じゃあ、あなたは私を知っている(You Know Me)。私は15歳の時に中絶手術を受けました。これを話すのは、この国で起きていることが女性や少女にとって本当に怖いことだから。だからこそ、私たちはもっと声を上げて、自分たちのストーリーを共有すべきだと思う」
これをきっかけに何百人もの女性が、SNSで自身が経験した中絶のストーリーを投稿。そのなかには、MeTooムーブメントでハーヴェイ・ワインスタインを訴えた女優のアシュレイ・ジャッドや、『セックス・アンド・ザ・シティ』のシンシア・ニクソンが母親と現在の妻が経験した中絶ストーリーを明かすなど、多くの著名人も名を連ねている。
(フロントロウ編集部)