ジャファーの設定変更のワケ
いよいよ日本でも公開がスタートした映画『アラジン』で、アニメ版と外見的にまったく違うキャラクターがいるのをご存じろうか?それは、ディズニーヴィランズの一員でもある悪役ジャファー。
演じるのは、チュニジア系オランダ人俳優のマーワン・ケンザリで、ご覧の通り、アニメ版のジャファーよりもずっと若くてイケメン。しかし、ほかのキャラクターはアニメ版のイメージを踏襲し、比較的忠実に再現されているのに、なぜジャファーだけ大幅な設定変更があったのだろうか?
もちろん若くて魅力的な男性として描いたほうが、観客がより感情移入しやすいという理由もあるが、今回の設定変更には、アニメ版で父親とそれほど年齢が変わらないジャファーが、王位に就くためとはいえ自分よりもはるかに若いジャスミン(※)を嫁として迎えようとしていることを、“不適切”だと感じる人が多かったことも大きく関係している。
※アニメ版のジャスミンの推定年齢は16歳。
『アラジン』の世界の舞台である中東では「早婚」もしくは「児童婚」といって、15歳以下の少女が年配の男性と結婚させられる慣習が今でも根強く残っており、強制性交などによって死者も出ていることから、世界を巻き込む社会問題となっている。米Hypableによると、実写版ではジャファーの年齢をジャスミンに近づけることで、倫理的な問題を解消する狙いがあるという。
ちなみに、実写版『アラジン』では、このほかにもアニメ版のオリジナルストーリーのベースとなる「男性に助けてもらわなければ自由になれない」という古い考えを覆すべく、原作にはいなかったジャスミンの親友ダリアを登場させるなど、現代社会の考え方に合わせた様々な設定変更が行われている。(フロントロウ編集部)