イギリスで起きたレイプ事件が、不起訴に。その被害女性に送られた検察庁からの手紙の内容に、衝撃が走っている。(フロントロウ編集部)

 イギリスに住むある女性は、2017年のある朝に、同じエレベーターに乗り合わせた男性にレイプされた。女性はその後すぐに病院へ向かい、被害者の身体から加害者の体液を採取することなどが出来るレイプキットを使用した検査を実施。証拠は揃ったものの、レイプされたというショックから、その後10ヵ月間は警察に届けることが出来なかったという。

 その後、彼女が警察へレイプを届け出たところ、警察は、「男がレイプを犯したという疑いは十分にある」として、男を逮捕。

画像1: レイプされた女性、「しっかりした女性」であることを理由に犯人が不起訴に

 しかしその後、検察庁から手紙が届いたという。その手紙を確認した英新聞紙Observerによると、そこには、男を訴訟しないという決定が書かれていた。

 自分をレイプした男が罪を逃れたということだけでもショッキングだけれど、さらに問題になっているのは、その理由。

 検察庁は、「加害者の弁護を担当する弁護士が、ここまでしっかりはきはきと話せて自己主張が強い女性が、申し立てをすることに時間がかかったことは不可解だと主張するかもしれない」としたのだ。

画像2: レイプされた女性、「しっかりした女性」であることを理由に犯人が不起訴に

 検察庁はさらに、当時女性がお酒を飲んでいたことで記憶が不確かな可能性があること、当初、女性が警察に携帯電話と今までのすべての医療記録を提出することに消極的であったことも、男が不起訴になった理由の一因だとしている。

 この手紙を読んだ女性は、「私がしっかり話せて自分の主張を明確にできたのは、事件を届け出るまでに、自分になにが起こったのかをしっかり考えたから」と、時間がかかったからこそ、しっかりと事件を報告できたと激怒。「もしレイプがあったかどうかに自信がなかったら、次の日にレイプキットの検査を済ませたりしない」と話した。さらに彼女は、過去に摂食障がいを患っていたことがあり、過去の医療記録まで提出することになれば、警察が彼女に“精神病患者”のレッテルを貼ると思ったと語る。携帯電話に関しては、女性は加害者と面識はなく、携帯電話を見せる意味が分からなかったという。

画像3: レイプされた女性、「しっかりした女性」であることを理由に犯人が不起訴に

 イギリスでは2018年に、検察庁が有罪判決率を引き上げるためにレイプ事件を手掛けないようにしていたことが、英The Guardianの取材によって発覚。2019年になった現在でも、レイプ被害を訴えた女性のうち、たった4%だけが裁判に臨むことができる状態にあると、女性の権利を守るために活動するいくつかの団体が合同で発表した。

 さらに今年2019年4月に、レイプ事件に関してだけ、警察が被害者のデジタル端末にアクセスするための同意書が導入された。これによって、さらに多くのレイプ被害者が、被害を届け出ることをためらうことが懸念されている。(フロントロウ編集部)

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