2019年1月には東京にも現れたのではと話題になった正体不明のイギリス人アーティスト、バンクシー。神出鬼没で、世界中のストリートに作品を残していることで知られる彼の存在は、2000年代初頭からイギリスを中心に知られはじめ、2018年には彼の作品がオークションにて約1億4,000万円で落札され、さらにはその作品がバンクシーが作った仕掛けによってオークション中に裁断されるというパフォーマンスも話題になった。
覆面芸術家であるバンクシーの正体については、複数人であるというウワサや、世界中をツアーで訪れるミュージシャンであるというウワサなど、様々。そんななか、イギリスの大手テレビ局ITVが、世界中のアート好きが興味津々なバンクシーの顔が映っているとするインタビュー動画を公開した。
2003年に収録されたというこの動画がもし本物であれば、バンクシーが主要テレビ局のインタビューに顔を映して応じた初めての映像とされる。
ITVによると、倉庫に保管され忘れ去られていたというこの映像は、今から16年前の2003年に撮影されたもの。バンクシーによるエキシビション『Turf War(原題)』の開催に合わせて撮られたものだという。
公に姿を現さないバンクシーだけれどこのときのインタビューの中では、「グラフィティアーティストで、公に登場することが出来ないのは残念すぎるよな。その2つは一緒には起こらない」と、法律的には違法行為である建造物へのグラフィティを作品とするアーティストとしてのジレンマに触れ、意外にも本当は覆面を取りたいという願望を明らかにした。
そんなバンクシーをインタビューした当時のITVの記者ヘイグは、彼の顔を全く覚えていないという。しかし、「彼は落ち着いていて、のんびりしていてね。人懐こかった」と、バンクシーとみられる少年とのインタビューの雰囲気を振り返った。
ヘイグは、この映像の青年が本物のバンクシーかどうかは分からないとしながらも、この際のエキシビションは運営側もはっきりしている公式のものであり、プレス担当者も人をだまそうとしているようには見えなかったとしている。
しかしバンクシーの人物像は多岐に渡るため、映像の青年がバンクシーであることに懐疑的な見方も多い。バンクシー側は、この映像について、「ノーコメント。こんなのは大量にあるんだ」としている。(フロントロウ編集部)