チャンスがCDを作るということ
チャンス・ザ・ラッパーの音楽がCDになる日がついにやってきた。チャンスのデビューアルバムとなる『ザ・ビッグ・デイ(TheBig Day)』が、7月26日に発売。
2017年のグラミー賞で最優秀新人賞に輝き、一気にスターダムを駆け上がったチャンスは、今でこそ、ジャスティン・ビーバーやエド・シーランといったトップアーティストがコラボを熱望する人気ラッパーとして、ポップミュージックのファンからも知られる存在になったけれど、彼が名を馳せるようになった最大のきっかけは、「音楽を“販売”しなかった」ことにある。
チャンスのキャリアを振り返ってみると、ブレイクのきっかけは2012年。ミックステープ『10デイ(10 Day)』が、MP3といったストリーミングサービスを通して拡散されると、翌年のミックステープ『アシッド・ラップ(Acid Rap)』で、「やばいラッパーがいる」とウワサはさらに大きく広がる。そして、2016年のミックステープ『カラーリング・ブック(Coloring Book)』は、CDがないにもかかわらずビルボード200で8位にランクインする歴史に残る華々しいデビューを飾り、ついにグラミー賞を獲得。
この時もチャンスは、大手音楽レーベルと契約しておらず、インディペンデントなアーティストとして、ストリーミングの力だけでグラミー賞を獲った史上初のラッパーとなった。
ストリーミングでより多くの人々に無料で音楽を発信したチャンスは、“音楽を販売(=CDを発売)しなくても成功できる”という新たなキャリアパスを構築させ、音楽界の歴史を塗り替えた。
ちなみに、音楽の聴き方を変えたストリーミングサービスの流通と、それに伴い音楽の“無料化”が進んだ今の時代のルーツは、業界を震撼させたベストセラー本『誰が音楽をタダにした?巨大産業をぶっ潰した男たち』(著:スティーヴン・ウィット )を読むと深く知ることが出来る。
チャンスが初めて“音楽を売る”
そんなチャンスが、今年、今まで一度も挑戦してこなかったあることに初挑戦。それが、正式なデビューアルバム『The Big Day』をリリースすること。
キャリア史上初めてアナログ盤をリリースするチャンスは、初めて自分の音楽を“有料で販売”することになる。
デビューから応援してくれているファンのためのアルバムだというチャンスのデビューアルバム『ザ・ビッグ・デイ』は、『カラーリング・ブック』のフォローアップアルバムだといい、20曲構成で、2018年のサマーソニックで披露した「Work Out」などの新曲も含まれる。価格は20ドル(約2,200円)で販売されている。(フロントロウ編集部)