マーヴェリックのレザージャケットに異変
1986年に公開された映画『トップガン』は、俳優トム・クルーズの出世作として知られている作品。コアなファンが多い作品でもある『トップガン』は、2020年に34年ぶりに続編『トップガン マーヴェリック』が公開されることが決定して、7月18日に予告編が公開されたばかり。
約30年以上ぶりの予告編には、『トップガン』で使用されていた戦闘機のF14が最後に登場したり、トムが演じるマーヴェリックが34年前に乗っていた日本を代表するバイクメーカー、カワサキのGPZ900R(Ninja)が一瞬映ったり、ファンなら大興奮する場面が多数登場。
しかし、その予告編で見られたオリジナルとの“ある変化”が話題になっている。それが、マーヴェリックが着るレザージャケット。
34年前にマーヴェリックが着用していたレザージャケットの背中上部には、日本の国旗と台湾が使用する青天白日満地紅旗が背中のワッペンがあった。
しかし、今回の予告編でマーヴェリックが着用しているレザージャケットからは、日本と青天白日満地紅旗だけが消え去り、違うデザインに変えられていた。
一体、なぜこのようなことが起こったのか。それの背景には、ハリウッドの事情があった。
ハリウッドの中国市場進出が要因の1つ
じつは、今回の『トップガン マーヴェリック』には、中国のIT企業が出資。そのため、制作側が、中国のスポンサーに考慮して、日本の国旗と青天白日満地紅旗を外したとの見方が強い。
また、中国がハリウッドにとって重要なマーケットであるということも理由の1つとしてあげられる。アメリカ映画協会(MPAA)いわく、映画の興行収入が下がり続けている北米と反比例して、中国ではハリウッド映画のチケットの売り上げが上昇を続けており、2017年に年間興収約4.5兆円という海外マーケットの市場最高額を記録することに大きく貢献した。
最近の例としてあげると、中国で北米より2日早く公開された『アベンジャーズ/エンドゲーム』の興行成績を国別で見ると、トップが北米の約918億円(850ミリオンドル)、その次に多かったのが663億円(614ミリオンドル)の中国。その他の国は合計で約1,416億円(1.31ビリオンドル)となっていると米経済紙Forbesが明かしている。そして中国で大成功を遂げた、『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、2009年に公開された『アバター』の興行収入を抜き、歴代の興行収入ランキングで1位を獲得。この数字だけを見ても、いかに中国の影響力が大きいのかがわかる。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』同様に、北米より2週間先に中国で公開された『アクアマン』も大ヒットを記録している。
中国で大ヒットすると、興行収入が大幅に変わってくるため、中国人俳優を起用したり、撮影ロケーションに中国を使ったりと、中国市場を狙った“忖度”をするハリウッド作品が増加しているのだ。
今回の『トップガン マーヴェリック』も34年ぶりの続編ということで、かなり気合が入っており、中国と政治的にぶつかることもある日本や台湾の旗が消えたシーンには、そんな近代ハリウッドの事情が見え隠れしている。(フロントロウ編集部)
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