いまだに語り継がれるロンドンオリンピック開会式
1896年に始まり、多くの出来事を歴史に刻んできたオリンピック。2012年にイギリスのロンドンで開催された夏季オリンピックは、その開会式のセンスの良さでいまだに語り継がれている。
なかでも、イギリス王であるエリザベス女王が、イギリスを代表する映画『007』シリーズのジェームズ・ボンドとともに空から会場に登場したことは、格式を重んじながらも、革新を生み出してきたイギリスらしいコラボレーションだと高く評価された。
開会式に女王がジェームズ・ボンドと登場する。この案を、有名監督でありロンドンオリンピックの芸術監督を務めたダニー・ボイルが提示した時、エリザベス女王は5分で快諾したそう。
しかしそれには、ある1つの条件が。
エリザベス女王の専属デザイナーであるアンジェラ・ケリーは、自身の著書『TheOther Side of the Coin: The Queen, the Dresser and the Wardrobe(原題)』のなかで、こう明かした。
「私が演技で話すシーンが欲しいかと聞くと、エリザベス女王は堂々とこう返事をしました。『もちろん、私はなにかを言わなければならないでしょう。だってジェームズ・ボンドは私を救いに来るのですから』」
それを聞いたアンジェラは、女王のセリフは「こんばんは、ジェームズ」「こんばんは、ミスター・ボンド」のどちらが良いかと質問。エリザベス女王は“ミスター・ボンド”を好んだという。
アンジェラはすぐさまダニーに、エリザベス女王の意思を伝えに行ったそう。エリザベス女王が快諾という、監督にとって嬉しいニュースを聞いたときのダニーの様子は、このようなものだったそう。
「私が、女王のたった1つの条件は『こんばんは、ミスター・ボンド』というキメ台詞を言うことだと伝えたとき、彼は椅子から落ちそうになるほど驚いていました」
女王が出演してくれるだけでも朗報なのに、なんとセリフまで要望されたダニー。嬉しい反面その責任はかなり重いものになったけれど、最終的なダニーの成功はご存知の通り。その成功の影には、エリザベス女王からのまさかの条件が隠されていた。
(フロントロウ編集部)