グラミー賞のみならず、エミー賞やトニー賞など、これまで数多くの賞を受賞してきたシンディ・ローパーのソロデビュー35周年を記念したツアーの最終公演の様子をお届け。(フロントロウ編集部)

日本ツアー最終公演はエンジン全開

 10月8日から6都市で行なわれたシンディ・ローパーのデビュー35周年アニバーサリーツアー。仙台を皮切りに行なわれたこの公演は、シンディにとって約4年ぶりの来日公演。

 この記念すべき公演の会場に入るとまず飛び込んで来たのは、ステージ上にセットされたシンディの顔が描かれた幕。会場が暗転するとその幕に光が照らされ、シンディの影が映し出されると、ファンは大歓声。そしてその幕があがると、いよいよシンディの35周年アニバーサリーツアーの最終日がスタート。

画像1: Photo:Masanori Doi

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 全身ブラックコーデにミントブルーの髪の毛とかなりファンキーな姿で登場したシンディは、初めからエンジン全開で1989年にリリースされたアルバム『ア・ナイト・トゥ・リメンバー』に収録されている「アイ・ドローヴ・オール・ナイト」を熱唱して幕開け。そして曲が終わると、「ついにこのツアーの最終日となってしまったわ」と感慨深く話し始めると、泣いているファンを発見。すると「あーもう泣いているファンがいるわ。私もさみしくなっちゃう。泣かないでね」とあやすように言葉をかけるも「ロックンロールに涙は似合わないわ」と、シンディらしい発言が飛び出し会場は大盛り上がり。

画像2: Photo:Masanori Doi

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 それからもシンディの話は続き、いつか日本語でしゃべるのではなく話がしたいという願望を明かし、「いつか居酒屋ジョークを言えるようになって戻ってくる」と宣言。続けて「今(会場の)ドアは閉まっているから、みんなこのジョークが嫌って言っても帰ることは出来ないからね」と開始早々ジョークも飛ばし絶好調。

 そして次の曲「シー・バップ」では、早くもスペシャルゲストが登場。「シー・バップ」でステージに出てきたのは、アメリカの大人気トークショー『エレンの部屋』に登場したことがある世界が注目する10歳のドラマー、よよか。彼女はシンディからオファーが来たのがこの公演の2日前で、小学校もあるなか必死に練習を重ねたよう。

 続けてシンディのソロデビューアルバム『シーズ・ソー・アンユージュアル』に収録されている「オール・スルー・ザ・ナイト」を披露し、「ホープ」では客席に降りてファンと触れ合うと、元々ジーン・ピットニーが歌っていた別れた女性を励ます楽曲「アイム・ゴナ・ビー・ストロング」と映画『グーニーズ』の主題歌である「グーニーズ・アー・グッド・イナフ」をパワフルに歌い上げた。

 シンディの公演は社会的メッセージも込められており、日本を代表する音楽家である坂本龍一と一緒に作った環境ソング「イベンチュアリー」を披露する前には「一滴の水が大きな波紋になって返ってくることを忘れてはいけない」と語り、シンディが歌う後ろでは、16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリをはじめ、大勢の人が環境デモに参加した風景が映し出されていた。

画像3: Photo:Masanori Doi

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 その後も「ユー・ドント・ノー」や「シャイン」「マネー・チェンジズ・エブリシング」などを歌いあげ本編は終了。

 アンコールが鳴りやまないなか、シンディはレインボーのチュチュを巻いてステージに登場。そこからは「チェンジ・オブ・ハート」にはじまりヒット曲「タイム・アフター・タイム」ではファンと掛け合いをする姿も。その雰囲気を生かしシンディはアカペラで代表曲とも言える「ガールズ・ジャスト・ワナ・トゥ・ハブ・ファン」を歌うと、再びよよかが登場し、客席のボルテージも最高潮。この楽曲のタイトルは女性の権利向上を訴えるウィメンズマーチで多くの人がプラカードの文言として採用しており、ウィメンズマーチの様子も流しながら、ジェンダーフリーという言葉が当たり前ではなかった時に「女の子もただ楽しんでいたい」と高らかに歌った楽曲を歌い上げ多くの人を勇気づけた。

画像4: Photo:Masanori Doi

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 そして最後には『キンキー・ブーツ』から「ノット・マイ・ファザーズ・サン」に続き、シンディがレズビアンの姉のために書いたLGBTQ+コミュニティのアンセムとも言える「トゥルー・カラーズ」を歌い上げ公演は幕を閉じた。

 涙あり笑いありそして色々と考えさせられる社会問題も織り込んでくるとは、さすがキャリア35年のシンディ。他のアーティストでは見ることが出来ない、観客がそれぞれ何かしら考えさせられるものがあった公演となった。(フロントロウ編集部)

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