続編制作の可能性に言及
10月頭の公開から現在までに世界興行収入8億5,380万429ドル(約939億円)を稼ぎ出し(※)、R指定映画としては史上最高のヒットを記録している映画『ジョーカー』。
※Box Office Mojo 調べ
ホアキン・フェニックス演じる主人公アーサー/ジョーカーの狂気に満ちながらも、哀しく、どこか妖艶さすら感じさせる姿を描いた同作は、DCコミックスのヒーロー作品『バットマン』に登場する悪役“ジョーカー”の物語を下敷きとした作品ながらも、これまでに発表されたどの実写化作品とも一線を画す、独特の存在感を放っていると高い評価を得ている。
そんな同作の続編制作には、世界中のファンたちが熱い期待を寄せているが、フィリップス監督もホアキンも「1回限り」、「続編の製作の予定はない」とこれまでに行なわれたインタビューでキッパリと否定。しかし、2人の間では、『ジョーカー』の撮影が始まったばかりの頃に、すでに続編の可能性について話し合いが行われていたという。
米Los Angels Timesとのインタビューに応じたホアキンは、「1作目が成功したから続編を作ろうっていうのには反対だ。それは馬鹿げてる」と、現時点では続編制作の計画は進行していないと念押ししながらも、フィリップス監督と彼は、ともに『ジョーカー』という作品には「まだまだ探求の余地がある」と考えていると明かした。
「映画が公開されるずっと前、成功するかどうかなんてまだ全然分からなかった頃、僕たちは続編について話し合ったよ。撮影が始まって2~3週間目くらいだったかな。僕はトッドに『続編の制作を進めてくれないか? だって、この作品には探求するべきポイントがたくさんありすぎるよ』って持ち掛けたんだ。もちろんふざけて言ったんだけど…まあ、じつは本心だったかな」
続編制作を打診するため「珍プレゼン」
この時、半分冗談、半分本気でフィリップス監督に続編の制作を持ちかけたというホアキンだが、自身が演じたアーサー/ジョーカーというキャラクターが、どんな作品に登場しても“様になる”という豊かな可能性を秘めた稀有な存在だということを証明するため、親しいスタッフと手を組んで、フィリップス監督にあるユニークなプレゼンを仕掛けたのだそう。
それは、往年の名作映画の数々にジョーカーの姿を合成してポスターを作るという何とも手の込んだ方法。
ホアキンは、「“このキャラクターは、どの映画に登場しても成り立つ”ってことを知らせたくて、現場のフォトグラファーに写真を撮影してもらって、それを、フォトショップを使って名作映画10作品に合成したポスターを作ったんだ。『ローズマリーの赤ちゃん』や『レイジング・ブル』、『愛のイエントル』とかね…」と、なんと自ら画像編集ソフトを駆使して名作映画の“ジョーカー入り”のパロディポスターを作ったことを告白。
「ポスターはなかなか説得力があったよ。「これなら観てみようかな」って思っちゃうくらいに。『愛のイエントル』にジョーカーなんて、最高だと思う!」と、笑いながら当時を振り返ったホアキンに、その場で一緒にインタビューを受けていたフィリップス監督も、「『愛のイエントル』のやつは覚えてる。『フォレスト・ガンプ/一期一会』もあったし、僕が作った映画の『ハングオーバー!』にジョーカーが追加されてるポスターもあったよね」とシュールすぎる出来栄えのポスターを思い出し、そろって爆笑していた。
「続編」はこんな作品になる
ポスターの一件は撮影中の仲間内でのおふざけだったにせよ、続編制作にはそろって前向きだというホアキンとフィリップス監督。
フィリップス監督は、今後、もし説得力のあるストーリーを考えつくことができれば、続編の制作を実行に移しても良いと考えているとしながら、こんな風に語っている。
「まだそんなに話し合いを重ねたわけじゃないし、もし続編を作るとしたらどうしようか…って話したレベルだけど、いや、もちろん、現時点で進めてるって意味ではないよ。でも、僕らの中では、“ピエロの姿をした犯罪王子”っていう、ただワイルドでクレイジーなだけの映画には絶対にしないっていうことは決めている。それは、僕らにとってはつまらないからね。1作目と同じで、何らかのテーマにそった奥深い共感性を表現できるような作品でなくてはいけないだろうとは思ってるよ」
「映画の多くは火花のような一瞬のひらめきを重要視しているけれど、『ジョーカー』はそうではなくて、その火花を構成する粉々の断片を表現することに重きを置いているんだ。もし、またそれらを真実味のある方法でとらえることができるなら、それはきっと面白いものになるだろうね」
(フロントロウ編集部)