悲しげなメロディが心に染みる「泣ける1曲」
日本でも2020年1月に公開される実写版映画『キャッツ』のオリジナルソングとして、シンガーのテイラー・スウィフトと同作の下敷きとなった有名ミュージカル『キャッツ』の数々の楽曲の生みの親でもある作曲家のアンドリュー・ロイド・ウェバーが共同で手がけた新曲「ビューティフル・ゴースツ」が公開された。
テイラーが以前、「美しくて、心に長く残るメロディ」と表現した通り、儚げで悲しい旋律が心に染みる同楽曲は、劇中では、同作が映画初主演となるバレリーナのフランチェスカ・ヘイワード演じる主人公の白猫ヴィクトリアが歌う。
「ビューティフル・ゴースト」誕生秘話
「ビューティフル・ゴースト」が劇中に登場するのは、シンガーのジェニファー・ハドソン演じるグリザベラが『キャッツ』の楽曲の中でも最も知名度が高く、エモーショナルな楽曲である「メモリー」を歌った直後。フランチェスカ演じる迷える子猫ヴィクトリアは、それを複雑な心境で聞いているという。
それを踏まえて、テイラーが楽曲を通して描いたのは、愛されることを知らず、孤独や不安に震えるヴィクトリアの心境。
テイラーは、アンドリューと共作した「ビューティフル・ゴースト」のインスピレーションについて、アップル・ミュージックのラジオ番組『Beats1(ビーツ・ワン)』のインタビューのなかで、こう明かしている。
「この曲は、グリザベラが過去の栄光や美しい思い出について歌う『メモリー』に対して、ヴィクトリアがちょっとした対抗心を見せるような内容になっているの。グリザベラには、今はもう失われてしまったとしても、少なくとも、自分が美しいと感じ、周囲から必要とされた輝かしい時間があった。でも、独りぼっちで放り出され、居場所を探してロンドンの路上を彷徨うしかないヴィクトリアの立場になって考えてみたら、グリザベラに対して『少なくとも、あなたには思い出があるじゃない!』って羨ましく思ってしまうはずだと感じたわ」
そんなアイディアから、テイラーの頭の中に最初に浮かんだのは、「And the memories were lost long ago, but at least you have beautiful ghosts(思い出は遠い昔に失くしてしまったけれど、少なくともあなたには美しい亡霊がいるじゃない)」という一節だったという。
過去の素晴らしい栄光や思い出、類稀な人生にすがる年配のキャラクターを目の当たりにした若いキャラクターが、どんな風に感じるかを追求したというテイラーは、「私にはそんな経験はないし、そんな経験ができるかどうかもわからない」、「あなたにはしがみつく思い出があるけど、私にはそれすらない」と心が折れそうになっている、ヴィクトリアの悲しい胸の内を「ビューティフル・ゴースツ」を通じて表現した。
同曲の出来栄えについて「すごく良い曲に仕上がったと思う」と満足げに語ったテイラーは、メロディは思いついていたものの、ヴィクトリアにどんな歌詞を歌わせるべきか悩んでいたというアンドリューやほかの制作陣の不安を一手に引き受けるかのように、「大丈夫。まかせて、私にはこの猫がどんな気持ちか代弁できる」と、大の猫好きらしい、頼もしい発言をしたというエピソードも明かしていた。
「ビューティフル・ゴースト」の制作のほかにも、テイラーがセクシーな赤毛のメス猫、ボンバルリーナとして出演する映画『キャッツ』は2020年1月24日に日本公開。
映画『キャッツ』
監督:トム・フーパー(『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』『リリーのすべて』)
脚本:リー・ホール(『戦火の馬』『リトル・ダンサー』)、トム・フーパー
製作総指揮:アンドリュー・ロイド=ウェバー、スティーヴン・スピルバーグ、アンジェラ・モリソン、ジョー・バーン
原作・原案:T.S.エリオット、アンドリュー・ロイド=ウェバー
キャスト:ジェームズ・コーデン、ジュディ・デンチ、ジェイソン・デルーロ、イドリス・エルバ、ジェニファー・ハドソン、イアン・マッケラン、テイラー・スウィフト、レベル・ウィルソン、フランチェスカ・ヘイワードほか
(フロントロウ編集部)